食道楽 ━KUIDORAKU━

“食”に対する飽くなき探究心から更なる高みを求め至福の食道楽の道へ!!
越前三国 川喜
越前三国 川喜

●住 所/福井県坂井市三国町中央2-2-8
●電 話/0776-82-1313
●訪問日/2008年1月12日(土)
●入店時間/14:30
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/85,050円


 この日は福井に出張が入り、ならば今が旬の北陸の冬の味覚の王者である越前蟹を頂かねば・・・と“川喜”の暖簾をくぐった。
川喜は福井の三国港で水揚げされる旬の魚介を扱う店として有名で、以前から機会があれば一度訪問したいと思っていた店である。

引戸を開け玄関へ入るとご主人自ら迎えて頂き、部屋まで案内して頂く。川喜では40名程の大部屋と通常の座敷が4部屋あるそうで、私たちは8畳程の部屋へ通された。程なくひとの良さそうな女将が現れご丁寧な挨拶をして頂く。事前の電話にて料理の内容は伝えてあったのでこちらは黙って運ばれてくるのを待つだけである。

広く世間一般に“楚蟹(ズワイ蟹)”と呼ばれている蟹は実は、地域によって呼称が異なり、北は北海道から富山・石川辺りまでがオス蟹を「楚蟹(ズワイ蟹)」と呼びメスは「香箱蟹」と呼んでいる。そのすぐ下の福井ではオスが「越前蟹」、メスを「せいこ蟹」と呼び、更に下へ降り山陰地方になるとオスを「松葉蟹」、メスを「親蟹」と呼んでいる。ちなみに漁期はオスが11/6から3/20、メスは11/6から1/10までと定められており、この日はメスのせいこ蟹を食せる今シーズン最後の週末であった。

●甘海老
前日に水揚げされたという甘海老は非常に色艶も良くひと目でその上質さが覗える。写真からも分かるように大量に卵を抱えており味の方も絶品。



●ひれ黒鰈の潮煮
鰈はとても柔らかくさらりとした脂がのり旨い。
透明で透き通った出汁はあっさりと薄い塩加減ながらコクと旨味がありこれがまた旨い。



●せいこ蟹
茹でたて熱々の状態にて登場したせいこ蟹


甲羅の中には鮮やかで濃いオレンジ色をした内子と蟹味噌が・・・茹でたての熱々がたまらなく旨い。



●越前蟹
箸の進み具合を計りながら、メインの越前蟹が茹で上がる。この蟹で18年ものとのこと。
蟹はただ茹でればよいというものではなく、蟹の質や杯数により水と塩の分量、火加減と時間の調整が肝要であり、これは長年の経験から得られるものであるという。下の写真のように茹で上がった蟹が立っている状態(おいたときに角度がある)が良い蟹とされているらしい。黄色いタグは三国港で水揚げされた越前蟹のブランドとしての証明。


川喜では茹でたての蟹を解体するのにハサミや蟹用のスプーン&フォークなどは一切使わない。脚の中にぎっしりと詰まった身を食するには関節ごとに手でへし折り、つけ根側の太い方を口にくわえ逆側から足の先(細い方)を押込み一気に口の中へ押出して食するのである。この食し方には慣れないと少々戸惑うが、一〜二度練習するだけでいとも簡単にできるようになる。こうすることで、茹でたての蟹の身と蟹汁を余すことなく頂けるというわけだ。女将曰く、「蟹は冷めると一気に風味が落ちてしまうので、熱々のうちに素早く召し上がって下さい」とのこと。


オスの甲羅はメスの三倍ほどの大きさで卵こそないが、蟹味噌は濃厚で旨い。こちらも熱々のまま頂く。写真にある白い部分は蟹のエキスと体液からなるもので、寒くなり蟹自体の旨味が増してくると増えてくるという。豆腐のような食感でクセやエグ味もなく淡白な味わいながら美味!



●雑炊
〆の雑炊は蟹の茹で汁を使用してつくられる。ここまで蟹三昧であったため、あえて蟹の出汁の風味は抑えた薄味仕立てに仕上げてあるとか。具は筍、三つ葉、長葱、海苔などが入る。とてもあっさりしている。



 ここまでゆっくり約二時間の越前蟹尽くしであったが、噂に違わず、質、量ともに満足のいく内容であった。特にご主人の目利きによりこの日供された越前蟹は立派なもので、ご当地ならではの新鮮な蟹を熱々の茹でたてで頂く醍醐味は価値のある経験であった。また、人柄の良い女将の丁寧な対応と給仕にも感謝したい。
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2008年1月7日(月)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/73,500円


 新年最初の京味訪問日がやってきた。この日は店の方も新年初日ということもあってか、私が入店したとき既に店内は盛況であった。大将の西さんも大変ご機嫌の様子で新年の挨拶をご丁寧にして頂きいつもの席に腰を下ろす。カウンターの向こう側では例によって8人程の料理人がいつになく活気に満ち溢れた様子で各々仕事をこなしている。そこにはいつもと変わらぬ独特の緊張感と空気が流れている。さて、新年初日の料理はどんなものが出てくるのか楽しみだ。

この日の献立

●雑煮
寒い身体に先ずは温かいものを・・・との配慮と、正月に相応しい一品としてこの日最初に供された料理は雑煮であった。 甘口の白味噌仕立てにて供された京風雑煮は、具に海老芋、京人参、大根、それに餅が入る。昔から京都では、家長である男の雑煮には頭芋を、女性の雑煮には海老芋をという慣わしがあるらしいが、大将曰く「最近では男が頭なのか女性が頭なのか分からなくなってきましたので、柔らかくて美味しい海老芋を入れときました。」と笑顔で・・・
私にはやや甘すぎる感がするものの、具材のひとつひとつに丁寧な仕事が施されており雑煮ひとつにも抜かりがない。奥深い味わいに身も心も暖まる一品である。

●先付
煮鮑・菜花のおひたし・なます
薄くスライスした煮鮑は味が浸み込み柔らかくて美味。旬の菜花のおひたし、なます、共にに申し分のない味である。

●越前蟹
先月、ボイルにて供された越前蟹は、この日は生の刺身で供された。今が旬の越前蟹は甘みがあり共に添えられた蟹味噌とともに頂く。


●ずいきの小椀
京味では定番となるずいき(芋茎)の含煮小椀。出汁で柔らかく煮たずいきにとろみを加え、最後におろし生姜を少々落とす。椀の蓋を開けたときに湯気とともに生姜の香りが立ち、とろみのある出汁からずいきを取り出して頂く。ずいきの独特の歯ざわりと食感がなんとも言えぬ味わいである。

●天ぷら
白魚と芹の二種で供された天ぷらはサクサク軽い揚がり具合で何もつけずに食して旨い。
●造り
この日の造りは、鯛、河豚、めじマグロの中トロである。鯛と河豚は京味定番のかわはぎの肝入りポン酢で頂く。ポン酢のさっぱりとした清涼感とかわはぎの肝のエグみのないまったり感が絶妙にマッチして美味!めじマグロの中トロは山葵と醤油で頂く。こちらもあっさりとしていて旨い。

●お椀
透明で透き通った出汁の中に見える具は、京人参、極小蕪、海老真丈、そして一番上には下が透き通って見えるほど極薄にスライスされた聖護院蕪が乗る。出汁はいつもながらしっかりしていて上品で旨い。椀の中の具はその素材のひとつひとつが良質であることは言うまでもないが、全ての具材に手間がかけられており、流石京味といえる非常に完成度の高い椀である。

●焼き物
焼き物は、河豚の白子と伊勢海老の二品が供された。
一口大に切り分けられ軽く塩を振って焼かれた白子が二つ。絶妙な焼加減で供された白子は外は芳ばしく中はとろけるようにまったりとしていて美味。
伊勢海老は食べやすい大きさに形を整え、そこに伊勢海老の味噌と甘口の白味噌とを混ぜ合わせ、たっぷりと塗ってから焼き上げる。プリプリした伊勢海老の食感と濃厚な味噌のコクと甘みに思わず顔がほころぶ・・・

●炊合せ
椀の蓋をとると、立ち昇る湯気とともに野菜の甘くて優しい香りが心を落ち着かせてくれるようだ。中身は、丸大根、ほうれん草、京人参、それに鴨ロースが入り上から出汁の利いたあんかけがかかる。こちらも完成度の高い一品だ。

●牛煮
この日、京味では珍しく肉料理が供された。
やや厚切りの極上和牛二枚が青菜、麩、長葱と共にやや甘口の出汁でさっと煮て供される。柔らかくて脂の乗った和牛は白飯と共に頂く。あまりの旨さにペロッと平らげてしまう。このとき添えられた香の物は、千枚漬け・赤蕪・大根・しば漬け二種。特に千枚漬は出色である。

●くずきり
この日のデザートはくずきりを頂くことに。
いつもながら目の前で手作りにてつくられるくずきりは黒蜜の椀に入り供される。さっぱりした甘さで美味!


 新年初日の京味は、この店に通うファンたちによって大いに盛況な一日であったようだ。いつもながら思うことであるが、四季折々に旬の味覚を尽くした和の匠の味を堪能させて頂き、感謝の気持ちで店を後にした。
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2007年12月10日(月)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/86,100円


 年の瀬も半ばとなり、とうとう今年最後の京味訪問日がきた。今年の最後を締めくくる12月の献立はいかがなものか期待に胸を膨らませ暖簾をくぐる。引戸を開け中へ入ると店内はいつもながらの活気に満ち溢れている。いつになく上機嫌な大将から笑顔で声をかけて頂きカウンターへ腰を下ろした。先客はテーブルに2名、カウンターに5名おり各々箸を進めている。こちらはとりあえずビールで喉を潤し、あとはいつも通りただ座っているだけである。

この日の献立

●小鉢
海鼠腸(このわた)の飯蒸し。これは先月と同じであるが相変わらず旨い。
一口サイズのおこわに海鼠腸(このわた)がたっぷり乗る。海鼠腸の量は先月よりやや多い気がする。暖かくてもちもち感のあるおこわ御飯に海鼠腸の塩辛がぴったり合い旨い。

●先付
青菜の胡麻和え・河豚身皮の煮凝り・雲丹の真丈・干このこ
河豚身皮の煮凝りはクセもエグさもなくさっぱりしているがしっかりした味があり旨い。

●蛤の土手鍋
直径6〜7cm程の可愛い土鍋に、白味噌:8、赤味噌:2の割合で配合したという甘辛い出汁味噌が張られ、そこに小振りの蛤が三つ入る。熱々の出汁味噌と蛤の旨味に身体が暖まり食欲が湧いてくる。

●越前蟹(雌)
一般に広く使われているズワイ蟹という名称は、北海道〜東北地方で「ズワイ蟹」、福井では「越前蟹」、山陰では「松葉蟹」と、地域によって呼び名が変わる。またその雌蟹も「香箱蟹」、「せいこ蟹」などと産地によって呼称が異っているが、いずれにせよ甲羅の中に卵をもった雌の蟹は雄よりも漁の期間が短く、一年間のうち冬の二ヶ月間くらいしか食せないので重用とされている。この雌蟹は外子(卵)と内子(未成熟卵)といわれる卵をもち、これに蟹味噌を混ぜて食すると何とも言えぬ旨さである。特に鮮やかなオレンジ色をした内子と蟹味噌が濃厚で美味!
この日は、甲羅の中に外子、内子、蟹味噌がたっぷりと盛られ、別にほぐした身と蟹味噌、それに脚と爪の部分がそれぞれ一本ずつ供された。
秋の味覚として日本でも人気の高い上海蟹のそれとはまた違った味わいが楽しめる。

●河豚白子焼
軽く塩をふり焼かれたふぐの白子が二つ、輪切りの酢橘に乗せられ供された。
小振りであるが焼加減も完璧で、外は芳ばしく中は熱々でとろけるような旨さである。
先日のすっぽんといい、この白子焼といい、何をやっても一流の仕事をしてしまうのが京味の素晴らしさである。この一品だけでもそこらのふぐ料理専門屋では太刀打ちできない・・・
●海老芋の揚物
先月、初物として含煮にて供された海老芋であるが、この日は揚物として供された。
甘口の出汁にてしっかり下味をつけられた海老芋は軽く薄力粉を塗し油で揚げられる。衣は限りなく薄く無きに等しい。甘口で上品な出汁の旨味ときめ細やかな海老芋の食感が大変に美味である。

●造り
この日は、鯛・鮪・河豚の三品である。
鯛とふぐは、京味定番のポン酢にかわはぎの肝を溶いて頂く。あん肝に比べ繊細でエグみのないかわばきの肝はまったりとしていながら上品な味わいである。美味。

●ぐじのお椀
先月焼物として供されたぐじは、この日はお椀にて供される。
ほぼ完全に透き通った透明な出汁の中に、白くて大きなぐじの身がどっしりとしずんでいる。ともに添えられたうどは数本がやや短めのマッチ棒状に整えられ三つ葉の茎で縛られる。その傍らには柚子も。いつもんながら出汁はしっかり引かれ薄味ながらとても旨い。ぐじの身は甘く柔らかだが程よく締まり美味。

●諸子の付焼き
琵琶湖特産の諸子は五本が付焼にて供された。
身体の小さな諸子はブラックバスなど外来種等外敵からの被害により、近年漁獲量が落ち込んでいるという。甘辛い醤油ベースで付焼きにされた諸子は一口サイズで旨い。

●鴨団子のあんかけ
おこわ(煎餅)を崩して水分を含ませ団子状にした餅の中に、鴨そぼろ・じゃが芋・百合根を混ぜ合わせた餡が入る。団子の直径は5〜6cm程だ。これを一度油で揚げ、そのうえから熱々でとろとろのあんがかけられている。
一口食してみると新鮮な感動が口一杯に広がる。煎餅の香ばしさともちもち感、コロッケのようなじゃが芋のしっとりまったり感にインパクトの強い鴨そぼろの風味、そこに小さく刻まれた百合根のしゃきしゃきした歯触りが加わり、それらを熱々のあんが包み込む・・・なんとも表現と説明の難しい味であるが、これらの全ての素材の持味が驚くほどうまくまとまっており旨い。もうひとつ!と言いたかった。

●越前蟹
越前蟹の胴体を出汁の張った鍋に落とし味を浸み込ませてから器に移す。そこへたっぷりの蟹味噌を蟹酢で溶き和わせ上からかける。胴体の中にも旨い身がたくさん詰まっているが、我侭ながら取出しにくいので全て身を取出して頂いた。蟹味噌の濃厚な旨味と蟹酢のさっぱり感が混じり合いこれがたまらない。

●鮭はらす御飯
この日も〆の食事は京味定番の鮭はらす御飯。
いつ食べても変わらぬ旨さに、ペロッと完食した。添えられた香の物は、千枚漬け・赤蕪・大根二種・青菜二種。特に千枚漬は出色。

●くずきり
先月、先々月とくずきりを頂いていなかったので、この日はくずきりを頂いた。
手作りのくずきりはいつもながらの黒蜜にて頂く。いやみのない甘さで美味!

  食事が終わり、うっかり「良いお年を・・・」と挨拶して席を立とうとしたら、「いやまだまだ、大晦日に御節を取りに来てくださいよ!」と言われ「あぁ、そうか」と苦笑いする羽目に・・・
いつもながら、旬の味覚を尽くした数々の料理を供して頂き感謝の気持ちで店を後にした。
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2007年11月5日(月)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/119,175円


 このところ、仕事が忙し過ぎてなかなかブログの更新をする余裕がない。身体が二つあるか、一日の時間が50時間あるならば、もっと楽に物事が運ぶだろうに・・・などとボヤきながら過ごす忙殺の日々である。よって数少ないこのブログの読者のために、近日掲載予定で現在下書き中の店を幾つか紹介すると、

◆荻窪「四つ葉」/すっぽん

◆銀座「割烹かじ」/日本料理・割烹

◆麻布十番「世良田」/焼鳥

◆銀座「七面草」/割烹

◆麻布十番「クチーナ・ヒラタ」 /イタリア料理

◆銀座「由松」/天ぷら

◆銀座「福臨門」/広東料理(上海蟹)

などなど言わずと知れた有名店ばかりである。が、しかし、“旨いモノ”と“そうでないモノ”を忌憚なく書かせて頂こうと考えているので、乞うご期待!?

 さて、余談はこれくらいにして、本題に入ることにしよう。この日も京味で美味しいものを頂ける機会に恵まれた。京味へ向かうときはいつも心が躍るようである。「今日はどんな美味しいものを供して頂けるのだろう・・・」と。暖簾をくぐり店に入ると既に連れが待ち構えていた。この日は二組五名の先客が先発しており、私達を含め都合七名の客がカウンターへ腰を下ろしていた。

この日の献立は次の通り

●小鉢
海鼠腸(このわた)の飯蒸し
一口サイズのおこわに海鼠腸(このわた)が乗る。暖かくてもちもち感のあるおこわ御飯に海鼠腸の塩辛がぴったり合い旨い。

●先付
鯛の肝のしんじょう・ウニのしんじょう・きゅうりと大根のごま和え・零余子(むかご)のフライ

 と、ここで西さんから「うちの宣伝をして頂いていると聞いたので、御礼状でも書こうかと思っていたんですよ!」と、いきなり振られ驚いた・・・
どうやらこのブログの存在を知られてしまったようである、、

●半生からすみ
薄くスライスした極上のからすみは酒のつまみにぴったり合う。

●白子焼
軽く炙った鱈の白子が二つ供された。外は香ばしく中はねっとり柔らかくて旨い。

●焼松茸
今年、西の松茸は丹波を始め、広島、岡山辺りはみな不作であったと言われており、逆に岩手産、長野産などが市場に多く出回っていた。が、ここ京味では小振りながら中開き〜開きの丹波産松茸が二本、二つに裂いた状態で軽く醤油が塗られ供された。今回は酢橘ではなく柚子が添えられている。先ずは器ごと持ち上げ顔に近づけ香りを楽しむ。香ばしくて強い松茸の香りが食欲をそそる。それを一口食すと、ジューシーな旨味と香りが一気に口の中へ充満した。秋の味覚の王様を味わい幸せを感じる瞬間である。次に柚を絞ってみる。また酢橘とは違う柚の香りに更に食欲が刺激される。
私も10月中旬に京都の八百屋から丹波産の上物を自宅用に1kg送らせ、自宅で焼松茸を楽しんだ、が、やはりこちらで供して頂く味には到底かなわない・・・

●海老芋の含め煮
今年初物として供された海老芋は京都の伝統野菜のひとつ。きめの細やかさを生かしたは含め煮は絶品。

●造り
この日は、「鯛、伊勢海老、赤貝」の三種である。
鯛はカワハギの肝を溶いたポン酢につけて頂く。カワハギの肝のまったりした濃厚な旨味とポン酢のサッパリとした清涼感とが絶妙なハーモーニーを奏でるかのごとく、口の中で絡み合い美味極まりない。伊勢海老は焼海苔で包んで頂く。包丁で丁寧な仕事が施された赤貝は身が締まり、こりこりした歯応えがありながらも硬過ぎず柔らか過ぎず旨い。

●鱧松茸鍋
ざく切りの松茸に、脂の乗った秋鱧と水菜が入る。こちらの松茸も開きが使用され、その香りは上品で強い。相変わらず出汁はしっかり引かれており、最後の一滴まで残らず頂いた。思わず「もう一杯!」と言いたくなる旨さである。

●焼き物
「若狭のぐじの塩焼き」と「ウズラの照り焼き」に松茸の足の煮物が添えられる。炭火で焼かれたぐじの身は締まっていながら柔らかく、甘みと旨味が凝縮されている。別添えにされたぐじの皮はきれいに剥がされ、こんがりとパリパリに焼かれ芳ばしくコクがありこれまた旨い。程よく味の浸み込んだウズラの肉は身が締まり、歯応えがあり美味である。

●松茸のフライ
松茸の一番旨い食し方は最もシンプルな炭火焼きである。が、しかし、京味で供される松茸のフライはそんな私の思いに一石を投じる一品である。こちらも中開きから開きの松茸二本分を二つに裂いた状態でフライにして供される。小皿のウスターソースにつけて頂く松茸のフライは外がカリっと揚がり中はジューシーで柔らかく、ソースとの相性が良いのか非常に旨い。「もう一本!」と言いたくなる・・・

●蕪の柚あんかけ
こちらは前回同様、大きめの蕪のうえから、暖かくて柚の香りと出汁のきいたあんがかけられている。あんのなかには一口サイズの海老のそぼろと松茸が入っており、箸ですっと切れるほど柔らかな蕪と海老のぷりぷりの食感とを、とろりとしたあんがひとつに包み込む。

●松茸ご飯と鮭はらす御飯
〆の食事は松茸御飯と定番の鮭はらす御飯をそれぞれ一膳ずつ頂いた。

●わらびもち
この日のデザートは蕨餅を頂くことに。葛きり同様、京味では蕨餅も手作りで作ってしまう。蕨餅にかけられたきな粉も香ばしく上品な味である。


この日は、いつもよりややハイペースで食が進み、所要時間は90分を楽に切った。別に早食い自慢をするわけではないが、やはり食欲の秋なのだろうか・・・当然、先発していた先客も追い抜いてしまう結果となった。

いつもながら、旬の味覚を尽くした数々の料理を供して頂きとても幸せであった。
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2007年9月26(水)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2(ビール2・日本酒2合)
●会 計/88,200円


 幸せなことに、この日も京味の暖簾をくぐることになった。ニコニコしながら店内へ入るとなにか少し様子が違う。いつもならばカウンターの中で8〜9人の男達が所狭しと動き回り仕事をしているのだが、このときは半分程度しかいなかった。なんでもこの日は、福田新政権の組閣に伴い閣僚級の政治家が9名ほど二階の座敷にきていたらしい・・・
さて、つまらない話しはこのくらいにしてこの日の献立である。


●先付三種
いんげんの胡麻和え・鯛の炙り押し寿司・他

●鯛骨の出汁でとった煮こごり
鯛の骨からとったという出汁の煮凝りは上品な味わいで、うっすらと柚の香りがしてすっきりしている。煮凝りの下には生うにが仕込んである。

●鱧二種
落としと炙りの二種盛り。いつもながらの逸品にいつもながらの梅タレが美味!落としは冷たくなく、口の中へ入れた瞬間に旨味とふわふわな食感が伝わってくる。美味!

すると、ここで、歌手の郷ひろみ氏が来店した。「いゃぁ、本当に京味さんは予約がとれなくて、やっとこれましたよ・・・もう一年以上来てないよ」などと言いながら、隣の席に腰を下ろした。この時点で19:30頃であったが、連れは19時からきていたのでおそらく約束に30分ほど遅刻したのだろう。(まったくの余談だが、実は、この日の翌週10/2(火)にも麻布十番の世良田で郷ひろみ氏とは遭遇している。そして、そこでも席につくなりこの日と同じようなことを言っていた・・・)

●焼松茸
丹波の松茸の出荷が遅れているとのことで、この日は岩手産の松茸を供して頂いた。炭火で炙っただけのシンプルな一品だが、これが松茸の最も旨い食し方である。付合せにはほうれん草が添えられた。

●穴子の湯葉巻き
下ごしらえの済んだ穴子を湯葉で厚めに巻き炭火で炙る。湯葉の表面のみカリっと香ばしく焼けていて、内側と中の穴子はやわらかい。絶妙な歯触りと食感で美味!

●丹波栗とぐじ(甘鯛)のあんかけ椀
丹波の栗は旨い!色つや、粒の大きさ、甘味、旨み、まろやかな味わいは日本一と賞賛されているが、この栗は本当に旨い。椀の中には蒸したぐじに出汁のきいたあんかけがかけられ、そこに蒸された丹波栗が乗る。旬の味覚で最高に美味!
このとき西氏が「僕の田舎の栗は上手いですよ。」と丸々としたカラ付きの丹波栗を触らせてくれた。そして、「僕が子供の頃は遠足にいくときにこの栗をリュックサックに10個入れていったんものです・・・」とニコニコしながら教えてくれた。

●銀杏塩炒り
前回同様、塩で炒っただけのシンプルな一品だがこの素朴な味わいが旨い。

●鯛の造り
いつもながら刺身の鮮度が良く、身が引き締まり厚みと弾力がある。

●すっぽん鍋
この日は、定番の鱧しゃぶとすっぽんのどちらが良いかと尋ねられたので、鱧しゃぶも捨てがたかったが、すっぽんをお願いすることに。
目の前におかれた鍋のスープは琥珀色をして透き通っている。東京では四つ葉のすっぽん鍋が旨いと評判だが、それと比較すると生姜の香りが大分マイルドである。出汁はしっかり引かれており全体的に薄味だがまろやかで優しい味である。旨い。
肝心のすっぽんは天然ものを使用しているとのことで、中には下ごしらえされた部位が二つと脂肪が入り、一口サイズの軽く炙った餅が途中で足された。すっぽんも脂肪もまったく臭みやくせがなく滋味深い味わいで旨い。流石である。

●子持鮎
前回塩焼きで供された子持鮎。この日は塩焼きと甘露煮の二種である。頭と尾の部分は外された状態で供される。個人的には塩焼きが好きなので、これほどの子持鮎を甘露煮にしてしまうのは勿体無いような気がする。付合せには松茸の足の部分を甘辛く煮付たものが添えられた。この子持鮎も腹の中は卵でパンパンに膨れ身はほとんどない。焼き加減も塩加減も申し分無し。

●蕪の柚あんかけ
大きな蕪のうえから、暖かくて柚の香りと出汁のきいたあんがかけられている。あんのなかには一口サイズの海老が入っており、箸ですっと切れるほど柔らかな蕪と海老のぷりぷりの食感とを、とろりとしたあんがひとつに包み込む。心落着く一品である。

●鮭はらす御飯
この日も食事は定番の鮭はらす御飯。いつもならさっさとかきこんでしまうところだが、このときは少し考えながら食してみた。まずは御飯のうえにのせられたはらすをよけ、米だけを食してみる・・・味が無い。これはこの米だけを白飯として頂いたならばきっと物足りないに違いない。次にはらすだけを食べてみる。脂がのり、旨味・甘み・塩加減・焼加減が絶妙で旨い。次にいつも通りはらすと米を一緒に頂いてみる・・・やはり旨い!そこで思った。これは、このはらすの旨さを生かすために、あえてこの米との組合わせなのだろう、と。奥が深いものである・・・

●冷ぜんざい
本日〆のデザートは、定番のくずきりと言いたかったがこの日はぜんざいをお願いした。大粒のあずきが程よい歯応えと上品な甘さに仕立てられ、満足の一品であった。

以上、全て完食してこの日もほぼ1時間30分だった。隣を確認すると鱧しゃぶを半分以上残した状態でお喋りに夢中になってた・・・

 食事が終わり店を出ると、いつも通り高下駄を履いた西氏が50メートル程先の日比谷通りまで送ってくれ、タクシーを止めてくれた。その道中にこんな話しをしてくれた。ある日、客からどうしても席をつくって欲しいと頼まれたが、その日は既に別の予約で席が埋まっていたので断ったところ、それでも「どうしても頼む!」と言われたので「どうしてもできません!」と断った。するとその客は大変不機嫌になったらしいが、西氏は「たまにお見えになる偉いさんよりも、月に一度食べにきてくれるお客さんが僕にとっては大切なんですよ」と淡々とした語り口調で話してくれた。そんなところに頑固で堅物ながら商売に真っ直ぐ向合い筋を通す西氏の人柄が垣間見られたような気がする。

京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2007年8月30(木)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2(ビール1・日本酒2合)
●会 計/75,600円

 予定通りこの日も京味の暖簾をくぐった。
目の前の白木のカウンター内では西氏を含め9人の料理人がテキパキと仕事をしている。そこには料理という生き物と向合う男達の活気と緊張感が溢れている。この光景を目の当たりにすると「この店は何と凄い店なんだろう・・・」と感心させられる。9人もの男が動き回るには決して広いとはいえないカウンターの内で、全ての料理人が誰一人として手を余すことなく自分の仕事に専念している。そしてそのたづなを操るのが西氏ご本人である・・・

さて、この日の献立は以下の通りだ。

●先付3種
いんげんの胡麻和え・中身を取り除いた梅の皮だけで包んだ手まり寿司(出色)・他
梅は酒に漬け込んで味付けしてあり、上品でさっぱり清涼感のある味で旨い。

●とろろとジュンサイの冷汁
とろろと出汁を合わせた中に蓴菜(じゅんさい)が入っている。
冷たく冷やして供される。

●干このこの炙り
別名「ばちこ」、「くちこ」とも呼ばれる、なまこの卵巣でできた超高級珍味。
新鮮ななまこの卵巣を約1ヶ月間天日干しにしたもので、一枚作るのになまこ30個〜50個が必要といわれてる。軽く炭火で炙り、酒のつまみに最高。

●ずいきの小椀
歯応えと程よい食感のずいき(芋茎)におろし生姜が入りさっぱりして旨い。

●鱧二種
落としと炙りの二種盛り。※料理と伴に供される梅タレが最高に美味!
最高の素材と最高の技術から供される珠玉の一品。湯煎した鱧は冷たく冷やし過ぎないことが肝要とのこと。口の中へ入れたとき、適温であるが故に‘ふわぁ’とした食感と旨味がストレートに伝わってくる。
炙りは皮をさっと炙ったたげで、身は生のままである。それを口の中へ入れる瞬間のなんとも言えない香ばしさがなぜか幸せな気持ちにさせてくれる。

●鱧寿司
一口でパクリと頂けるサイズ。文句なく美味。

●うにと小茄子の含め煮
出汁で煮て味を浸み込ませた一口サイズの小茄子のうえに、薄く甘辛い味噌を敷き、その上に見事な蝦夷ばふんうに(と見受けた)がのせてある。
一口サイズで二つ供され美味。

●新銀杏(翡翠銀杏)
塩で炒っただけのシンプルな一品。あざやかな緑色が食欲をそそり旨い。

●鯛の造り
新鮮な鯛の刺身は身が引き締まり厚みと弾力があり旨い。

●鱧と松茸のしゃぶしゃぶ鍋
超有名な定番の一品。鱧の骨からとった出汁にスライスした松茸(秋にはざく切りになる)を惜しげもなく入れ、薄切りにした鱧の身をしゃぶしゃぶのようにさっと鍋の中にくぐらせ食す。この鍋の出汁だけで十分美味であるが、すだちとポン酢も伴に供される。鍋の中に残った出汁は最後の一滴まで美味しく頂ける。

●子持あゆの塩焼き(※絶品)
高級料理店などでよくお目にかかる子持ちあゆ。この日は旬の味覚に拘る京味で供して頂いた。いうまでもなく素材自体の素晴らしいさは抜群で、見た目にもこれほどの子持ちあゆはなかなかお目にかかれない。腹の中は卵でパンパンに膨れていて身はほとんど無い。味の方はというとこれが驚愕の旨さで、焼き加減、塩加減、ここまでくると食べる者を感動させる和食の芸術の域である。ちなみに頭と尾の部分は外された状態で供される。

●真蛸とひろすうの炊合せ
関西ではがんもどきのことを‘ひろうす’という。甘辛く煮付けた真蛸と薄味で煮付けたひろうす、それに真蛸の卵(超小粒)がまた別の薄味仕立てで添えられている。絶妙な味加減でこちらも美味。

●鮭はらす御飯
京味定番の食事。
つかっているのは鮭の王様“マスノスケ”。このマスノスケを丁度良く焼き、身と皮を別々にしてから、身はほぐし、皮はこまかく刻む。これをまぶして、炊きたて御飯のうえにのせる。脂の乗った身の旨さと皮の香ばしさが相まって食する者を唸らせる一品。この鮭はらす御飯目当てに京味へ通うお客も多い。

●香物
京都から取寄せているという漬物にも抜かりは無い。
伴に供された松茸の醤油漬けが旨かった。

●くずきり
京味ではくずきりまでも客の目の前で作ってしまう。作りたてのくずきりを黒蜜仕立てのお椀で頂く。

さて、ここまでかかった時間は約1時間30分。なかなかのハイペースであったが、実際にはとても短く感じられた。これから季節は秋へと向かい、脂の乗った秋鱧や松茸が旬を迎えることになる・・・京味の料理も更に美味冴えわたるに違いない。

次回の訪問予定は9月中旬
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2007年6月11日(月)
●入店時間/18:35
●オーダー/おまかせ×2・ビールその他
●会 計/73,500円

 今月初旬、銀座で一番美しいと云われるママと由松で天ぷらを食べながら、京味へ行こうと約束していたので、この日は京味へ足を運んだ。新橋から虎ノ門へ向かう途中の路地裏の一角にあるこの店は日本料理界の大御所「西 健一郎氏」が営む京風割烹料理の店で、食通の間では超有名な店である。オーナーの西氏は本業の傍ら料理本なども多数執筆している。また、この店に訪れる客の中には大物が多く、店の中には常連客の提燈が掛けてある。その中には大物政治家から大物芸能人、大企業の経営者・・・etcらの名も記されてあり、そんなところからもこの店がいかに多くの客から愛されているかが覗える。西氏と京味に関してはネット上でも多くの情報が掲載されているので、ここでこれ以上私が語ることは何もない。

9席ほどの清潔な白木造りのカウンターの内側では、西氏を含め8名もの料理人がところ狭しと自分の仕事をこなしている。途中西氏の激が若い料理人に飛ぶことも・・・

【この日の献立】
●先付け3種盛り
(タコの柔らか煮、ミョウガの手鞠寿司、ごま和え)

●とろろとジュンサイの冷汁

●芋茎(ずいき)の含め煮小椀

●鱧二種
(落とし・炙り)※梅たれが最高

●胡麻豆腐

●茄子田楽の生雲丹のせ

●お造り三品(真鯛、鮪、伊勢海老)

●飯蛸の煮物

●湯葉の山葵餡かけ

●鱧と松茸のしゃぶしゃぶ鍋

●稚鮎の塩焼き(蓼酢で頂きます)

●鮭のハラスと炙った皮のご飯(正確には‘マスの介’)

●自家製葛きり黒蜜かけ(※目の前で手作り)

以上、全て完食するのに僅か90分程度であった。料理についてはただ黙るしかなく何も語ることはない。

至福の食事が終わり、その場で次回の予約を入れてから店を出ると、裏の駐車場までわざわざ西氏が見送りに出てくれて、連れの為に車のドアの開け閉めまでして頂いた。これだけの人物にここまでして頂いてはかえってこちらの方が恐縮してしまう・・・

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