食道楽 ━KUIDORAKU━

“食”に対する飽くなき探究心から更なる高みを求め至福の食道楽の道へ!!
由松
「天ぷら 由松」

●住 所/中央区銀座8-2-3
●電 話/03-5537-5950
●訪問日/2007年12月19日(火)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×7・御土産×7・ビール・焼酎その他
●会 計/182,400円


 年の瀬も押迫り、この日は会社幹部5名+客2名での食事会となり“由松”の暖簾をくぐった。ネット上のレビュアーの評価を読むと由松の人気は二分されているようで、この店に対し批判的な意見を述べている諸兄は基本的にコストパフォーマンス重視の方々のようである。また、由松の大将である榊原氏の風貌が威圧的で好ましくない・・・等々
何を基準に物差しとするかは個々の価値観によるところが大きいので、ここでそれについての議論はしないが、私は銀座で一番の天ぷら屋は由松であると思う。

この日の献立

●通し
河豚身皮の煮凝り×2・青菜のおひたし

●天ぷら
01.パンの天ぷら/才巻海老のすり身をパンで挟んだもの。由松定番!
02.才巻海老
03.才巻海老
04.アスパラ
05.才巻海老

●小鉢
生才巻海老のわさび和え。
生の才巻海老を山葵醤油で和え上から極細に刻まれた海苔がかかる。

●天ぷら
06.椎茸/椎茸の傘の中に才巻海老の練物が仕込まれている。
07.才巻海老
08.海老芋/海老芋含煮の天ぷら
09.才巻海老
10.百合根の団子
11.河豚/ポン酢に安岡葱紅葉卸が入り供される。
12.才巻海老
13.銀杏/串刺しにて三個
14.才巻海老
15.きす
16.才巻海老
17.獅子唐

●お椀

●天ぷら
18.蓮根
19.才巻海老
20.烏賊
21.紫蘇の大葉
22.才巻海老
23.鶉の卵
24.小玉葱
25.蒟蒻

●食事
天茶/定番。

●御土産
天むす折詰。一度食べたら病みつきになる旨さ。

 ここまで約二時間の天ぷらフルコースは充分過ぎるほどの量があり、いつもながら満腹となる。由松の天ぷらは衣が極めて薄く、全ての種が小振りで一口サイズに統一してあるからこれだけの種数が食せるのだ。このあたりの配慮は特に女性には人気である。
この日は由松特製の天むすを人数分折詰めにして頂き御土産として持ち帰ったが、この店が食事だけで通常一人3万円程度の料金であることを考えると、御土産つきでこの料金とは随分と御安くして頂いたことになる。感謝。
日本橋 はやし
「日本橋 はやし」

●住 所/中央区日本橋室町1-12-10
●電 話/03-3241-5367
●訪問日/2007年10月9(火)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2・ビール×2
●会 計/37,700円


 日本橋の老舗“はやし”は三越から少し歩いた路地にあり、その店構えは純和風の風情ある趣きである。引戸を開け店内に入ると9人掛けの白木造りのカウンターがあり、別にテーブル席がひとつある。店内は小じんまりしているものの、手入れが行き届いており油臭さなどもなく清潔感がある。カウンターの中程に案内され腰を下ろすと、ご主人からご丁寧な挨拶をして頂き、この日の種である活車海老を見せられた。ビールで喉を潤しながら、目の前で活車海老の殻などを外す主人の仕事ぶりを眺めていると、車海老の頭の素揚げが供された。

以下この日の献立である。

●車海老の頭の素揚げ
カラッと揚がりつまみとしては旨い。

●車海老レア(塩)
「車海老は三本出ます。まず最初は素材の良さを味わって頂きたいのでレアで揚げます。」と主人の説明があり、一本目の車海老が供された。見た目には普通の天ぷらだが食してみると確かに中はレアの状態である。別段旨いと言うわけではなく、普通に火を通した方が旨味が出るように感じる。

●銀杏(塩)
あざやかな緑色をした翡翠銀杏の天ぷらである。素材の持ち味を生かした工夫からか、素揚げに近い状態にて供された。良い素材を使用していることは分かるが、京味で供されるそれには及ばない。

●車海老(塩)
「今度は中まで火を通して揚げています。」と主人の説明があり、二本目の車海老が供される。やはり、先ほどのレア状態のときよりこちらの方が旨い。

●キス(塩)
この日最も出色であったのがキスである。大きいく厚みがあり柔らかくてとても旨い。これぽど上質なキスの天ぷらには滅多にお目にかかれない。美味である。

●イカ(塩)
厚みがあり歯応え抜群のモンゴル烏賊は普通に旨い。

●あなご(塩/天汁)
大きく厚みがあり柔らかい。ネタは上質であることが覗える。普通に旨い。

●松茸1本(塩)
旬の味覚である松茸は傘の開きが小さい“ころと中開きの中間”のものが一本揚げで供された。「傘の方からかぶりついて下さい」との主人の説明通り食す。松茸の香りはやや弱いものの、しゃきしゃきの歯応えとジューシーさが旨い。

●車海老(塩)
三本目の車海老は「レアと火を通す方のどちらが宜しいですか?」との主人の問いかけに、迷わず「火を通して下さい」と答えた。やはり海老の天ぷらはレアよりもこちらの方が旨い。

●栗の素揚げ
渋皮の付いた栗をそのまま素揚げにして供される。微妙な味である・・・旨いとは思わない。

●ふりかけ御飯 香の物
〆の食事は白米に名物の特製ふりかけと漬物が別に添えられる。このとき「このふりかけの主な原料はなにからできているか?」と問いかけられたので、先ず臭いをかぎ、一口食してみた。胡麻の香りときな粉か大豆のような風味が強いようだと答えると、正解は豆腐だという。豆腐を崩しフライパンで焦げつかないように丁寧に時間をかけ炒っていき、この状態にまでするのだという。この問いかけに未だ正解した客はいないとのことであったが、私の解答は当らずとも遠からず・・・というところだろうか

 全て完食してここまでに要した時間は一時間を少し過ぎた程度であった。由松の天ぷらがスタンダード化している私には全体のボリューム感が軽く感じられ、満腹という風ではかったが、別段不満を覚えることもなく、逆に種の質に関して言えば、大いにこだわりがあるようで、ご主人のメガネに適う上質なものだけを仕入れていることが覗える。揚げ方も高温でカラっと揚げる天ぷらというよりも、油の温度をやや抑えた低温揚げの天ぷらなので、全体の印象としてはしっとり優しい天ぷらという感である。ここで誤解のないよう申し添えるが、衣がカラッと揚がっていないということではなく、一般的な天ぷら屋に比べ加熱が“寸止め”のような感の揚がり具合であるということだ。表現が微妙だがこれはこれで悪くはない。
また、ご主人は非常に丁寧な接客を心がけられておりとても好感がもてる。が、種が揚がる度に食べ方の説明をするのはいかがなものか。これは客によっては是非が別れるところであろう。なぜなら、食通の客は、種によって塩か天汁か何もつけずに食するかを自らが使い分けられるからだ。

知名度の高い比較対象として銀座「近藤」と比べたならば、こちらが優勢である。
由松
「天ぷら 由松」

●住 所/中央区銀座8-2-3
●電 話/03-5537-5950
●訪問日/2007年4月7日(土)
●入店時間/19:10
●オーダー/おまかせ×2・ビール2本
●会 計/60,434円



 8丁目の電通通りに面したNTTビルの真裏、人通りも少ないひっそりした路地のなかほどに由松はある。その佇まいからは一見天ぷら屋とは想像しにくいなんとも言えぬ趣きがあり、銀座では近藤と並び称される天ぷらの名店として有名である。が、味、趣き、価格、全てにおいてこちらが優勢である・・・
由松のルーツは昭和27年に先代が京都から銀座に出店した‘京星’という店に端を発しており、日本で最初に天ぷらを塩とレモン汁で食べさせた店として知られている。由松という店名の由来は2002年9月当時のリニューアルオープンにあたり、現在のご主人が先代の榊原由松氏に因んで冠した店名とのこと。

この日は地方から大切な客が来ていたので、東京で何か旨いものを食べさせたいと思い当初は日本橋茅場町のみかわへ連れて行こうかとも考えた。しかし、店の雰囲気等を考慮しやはり由松を選択した。
予定の時間よりも早目に到着してしまったので引戸を開け店内を覗いてみると、おかみさんが「どうぞ・・」と親切に通してくれた。
由松の店内は天ぷらを揚げるご主人を囲むように配置された白木造りのコの字型カウンターが向かって右奥から3席・中央4席・左側2席の計9席のみで、私達の中央二席以外は全て先客で埋まっていた。この日の客層はというと右側の端からリッチな雰囲気の家族連れが5人座っており、左端にはやはりリッチな感じの中年のご夫婦が二人で座っていたので、私達は丁度カウンター中央付近のご主人のほぼ正面に陣取ることになった。他の食事なら静かなテーブル席や座敷でゆっくり食べる方が良いが、寿司と天ぷらだけはカウンターで頂くのが最も旨い食し方である。更に欲を言えばその道の名人と称されるような職人の店ではその仕事ぶりを間近に観察できるという点からも店の主人の目の前の席が特等席であるといえるので、私の客が初来店にしてご主人榊原充三氏の目の前の席へ腰を下ろせたことは幸運であった。

由松の天ぷらは基本的に素材が透き通って見えるほど衣が薄いのが特徴である。故に衣が吸収する油の量が極めて少なく、素材そのものの良さが引立っていて旨い。種も一口サイズの小ぶりなものに統一されており、これを天つゆを用いずにパウダー状の特製塩とレモン汁でさっぱりと頂く。客の箸の進み具合と呼吸を取りながらご主人がひとつひとつ揚げていくわけだが、気付くと軽く種数20〜25くらいは胃袋の中へ収まってしまっている。
ご主人曰く、食材は特に旬のものにこだわりがあるとのことで半月毎に仕入れる食材も変化していくそうだ。この日も旬の山菜や根菜、魚など新鮮で上質な種物をたくさん揚げて頂いた。
食事は毎度天茶を頼んでいたのでこの日は天丼にした。大量の天ぷらで腹は張っていたが何とか天丼は完食した。最後のデザートは由松定番のくずきりを頂きたかったが、胃袋に余裕がなかったので泣く泣く諦めることに・・・

天ぷらで一杯になった腹を撫でながら店を出ると、いつも通りにご主人とおかみさんが表まで見送りに出てくれた。



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