銀座 かつぜん
●住 所/中央区銀座六丁目8-7 交詢ビル4F
●電 話/03-3289-8988
●訪問日/2008年1月11日(金)
●入店時間/20:45
●オーダー/アラカルト(下記参照)
●会 計/36,575円
この数日間何かと会社が慌ただしかったので慰労の意味も込め、いつも遅くまで仕事をしている部下二人に声をかけ、少し遅めの晩飯をとろうと交詢ビル4階の“かつぜん”を訪問した。かつぜんはカウンター9席と小上がり3〜4名程度の小さな店だが、私達が店に着いたとき丁度先客が引上げるところでタイミングが良かった。
●通し
大根の白和え・ほうれん草の胡麻和え
平凡な品で家庭料理の域である。
●蟹の酢の物×3
越前蟹・春菊・しめじ
どの素材も褒められたものではなく、酢が弱いので締りが無い。

●自家製漬物盛合わせ
大根・人参・蕪・白菜・胡瓜の糠漬けに薄切り大根の柚子巻きが入る。この漬物は普通に旨い。

●季節のサラダ(温製)
サラダの素材は、トマト・人参・蕪・ブロッコリー・パプリカ・カリフラワー・アスパラなどが用いられ、香ばしい胡麻風味のドレッシングがかかる。素材として使われている野菜はどれもこれも質的に平凡な品であるが、ドレッシングの味は印象的に残るものである。

●冷奴×3
五右衛門豆腐の絹ごし冷奴。まぁ普通。
●出汁巻き卵焼
甘過ぎる。女性向けか・・・

●左)とんかつソース/右)にんにくと胡麻ねぎのソース
かつぜんでは二種類のソースが供される。写真左のとんかつソースはいまひとつ。というより旨くないというのが率直なところか。
右側はかつぜんオリジナルのにんにくと胡麻ねぎのソース。こちらは甘口なのでこれだけでは厳しいが、これを小皿などに取りとんかつソースと辛子を溶き合わせると不思議といける味に変化する。

●黒豚ヒレかつ×3
時間的なせいもあってか、口元へ近づけると揚げ油の酸化臭が鼻につく・・・
使用している豚肉の肉厚と旨味はそこそこである。が、付合せのきゃべつは下の写真で見ての通り切り方からして雑であり、一皿5,300円のとんかつの皿に乗る代物ではない。

●食事セット
この店ではコース料理以外には白飯と味噌汁がつかないので、食事セットとして別に注文しなくてはならない。白飯は旨い。味噌汁は合わせ味噌でとんかつには弱い。
【かつぜんの主なメニュー】
◆割烹コース/7,500円
◆黒豚とんかつコース/9,000円
◆イベリココース/12,000円
◆黒豚ロースかつ/5,000円
◆黒豚ヒレかつ/5,300円
◆リブロース生姜焼/5,000円
◆ロースかつ/3,800円
◆ヒレかつ/4,300円
◆季節のサラダ/1,800円〜
◆酢の物/900円
◆出汁巻卵/900円
◆自家製漬物盛合せ/1,200円
◆冷奴/1,050円
◆食事セット/1,050円
※上記全てにサービス料が別途加算される
今回の訪問はこの店のオープン当初以来の再訪であった。当時は高級なとんかつ屋がオープンしたとの噂を聞きつけ興味本位で訪れてみたが、そのときの印象としては何の取柄もない店との記憶であった。が、今回はそれが確信となる。
池袋からこの地に移転し“とんかつ割烹 かつぜん”と店名まで変更したようだが、銀座で割烹と名乗るには力量的に大変無理があるように思う。特にとんかつ以外の料理に関して言えば出てくる品はどれも家庭料理の延長線上のようなものばかりで、素材そのものに対する目利きや拘りが全く感じられない。料理として客に供するための素材を吟味することは勿論だが、料理人の味覚と技量を鍛え直すことが先決である。また、カウンター席がメインのこの店では取分け気の利く給仕がいるわけでもなく、ただのとんかつ屋が全ての料理にサービス料を課すというのも頂けない。それもこれも背伸びをしてこのようなコストのかかる場所へ出店してしまったため、それが料金に反映し、結果としてそのしわ寄せが客に押付けられているということだろう。
この店では唯一、黒豚のヒレ肉(ロースは不明なので要調査)は一般的なとんかつ屋よりもそこそこに良いものを使っているし、また白飯と漬物は合格点なので、基本の揚げ油の管理を徹底し、味噌汁とソースを見直せば、あえて“とんかつ割烹かつぜん”などと背伸びをせず、身の丈に合った土地で“とんかつ かつぜん”として適正な価格で料理を提供する方が客からも喜ばれ商売も繁盛するのではないだろうか・・・と思うのは私だけか。
いずれにせよ、現在この店が提供している料理とサービスの内容は客が支払う料金に見合っていない。
●住 所/中央区銀座六丁目8-7 交詢ビル4F
●電 話/03-3289-8988
●訪問日/2008年1月11日(金)
●入店時間/20:45
●オーダー/アラカルト(下記参照)
●会 計/36,575円
この数日間何かと会社が慌ただしかったので慰労の意味も込め、いつも遅くまで仕事をしている部下二人に声をかけ、少し遅めの晩飯をとろうと交詢ビル4階の“かつぜん”を訪問した。かつぜんはカウンター9席と小上がり3〜4名程度の小さな店だが、私達が店に着いたとき丁度先客が引上げるところでタイミングが良かった。
●通し
大根の白和え・ほうれん草の胡麻和え
平凡な品で家庭料理の域である。
●蟹の酢の物×3
越前蟹・春菊・しめじ
どの素材も褒められたものではなく、酢が弱いので締りが無い。

●自家製漬物盛合わせ
大根・人参・蕪・白菜・胡瓜の糠漬けに薄切り大根の柚子巻きが入る。この漬物は普通に旨い。

●季節のサラダ(温製)
サラダの素材は、トマト・人参・蕪・ブロッコリー・パプリカ・カリフラワー・アスパラなどが用いられ、香ばしい胡麻風味のドレッシングがかかる。素材として使われている野菜はどれもこれも質的に平凡な品であるが、ドレッシングの味は印象的に残るものである。

●冷奴×3
五右衛門豆腐の絹ごし冷奴。まぁ普通。
●出汁巻き卵焼
甘過ぎる。女性向けか・・・

●左)とんかつソース/右)にんにくと胡麻ねぎのソース
かつぜんでは二種類のソースが供される。写真左のとんかつソースはいまひとつ。というより旨くないというのが率直なところか。
右側はかつぜんオリジナルのにんにくと胡麻ねぎのソース。こちらは甘口なのでこれだけでは厳しいが、これを小皿などに取りとんかつソースと辛子を溶き合わせると不思議といける味に変化する。

●黒豚ヒレかつ×3
時間的なせいもあってか、口元へ近づけると揚げ油の酸化臭が鼻につく・・・
使用している豚肉の肉厚と旨味はそこそこである。が、付合せのきゃべつは下の写真で見ての通り切り方からして雑であり、一皿5,300円のとんかつの皿に乗る代物ではない。

●食事セット
この店ではコース料理以外には白飯と味噌汁がつかないので、食事セットとして別に注文しなくてはならない。白飯は旨い。味噌汁は合わせ味噌でとんかつには弱い。
【かつぜんの主なメニュー】
◆割烹コース/7,500円
◆黒豚とんかつコース/9,000円
◆イベリココース/12,000円
◆黒豚ロースかつ/5,000円
◆黒豚ヒレかつ/5,300円
◆リブロース生姜焼/5,000円
◆ロースかつ/3,800円
◆ヒレかつ/4,300円
◆季節のサラダ/1,800円〜
◆酢の物/900円
◆出汁巻卵/900円
◆自家製漬物盛合せ/1,200円
◆冷奴/1,050円
◆食事セット/1,050円
※上記全てにサービス料が別途加算される
今回の訪問はこの店のオープン当初以来の再訪であった。当時は高級なとんかつ屋がオープンしたとの噂を聞きつけ興味本位で訪れてみたが、そのときの印象としては何の取柄もない店との記憶であった。が、今回はそれが確信となる。
池袋からこの地に移転し“とんかつ割烹 かつぜん”と店名まで変更したようだが、銀座で割烹と名乗るには力量的に大変無理があるように思う。特にとんかつ以外の料理に関して言えば出てくる品はどれも家庭料理の延長線上のようなものばかりで、素材そのものに対する目利きや拘りが全く感じられない。料理として客に供するための素材を吟味することは勿論だが、料理人の味覚と技量を鍛え直すことが先決である。また、カウンター席がメインのこの店では取分け気の利く給仕がいるわけでもなく、ただのとんかつ屋が全ての料理にサービス料を課すというのも頂けない。それもこれも背伸びをしてこのようなコストのかかる場所へ出店してしまったため、それが料金に反映し、結果としてそのしわ寄せが客に押付けられているということだろう。
この店では唯一、黒豚のヒレ肉(ロースは不明なので要調査)は一般的なとんかつ屋よりもそこそこに良いものを使っているし、また白飯と漬物は合格点なので、基本の揚げ油の管理を徹底し、味噌汁とソースを見直せば、あえて“とんかつ割烹かつぜん”などと背伸びをせず、身の丈に合った土地で“とんかつ かつぜん”として適正な価格で料理を提供する方が客からも喜ばれ商売も繁盛するのではないだろうか・・・と思うのは私だけか。
いずれにせよ、現在この店が提供している料理とサービスの内容は客が支払う料金に見合っていない。
「西麻布 豚組」
●住 所/港区西麻布2-24-9
●電 話/03-5466-6775
●訪問日/2007年11月25(日)
●入店時間/20:25
●オーダー/鹿児島純粋黒豚膳(ヒレかつ)3,500円・飛騨けんとん豚膳(ヒレかつ)2,200円・飛騨けんとん豚弁当(ロースかつ)2,800円・デザート×2
●会 計/10,300円
この日は娘と渋谷で買い物をした帰りに、“豚組”の暖簾をくぐった。この店は西麻布の路地裏にある。この界隈には隠れ家風の飲食店が点在しているが、この店もそんな一軒といえるかも知れない。昭和30年代に建てられた民家を改装したというこの店は正に昭和の雰囲気を醸し出している。

引戸を開け店内へ入ると目の前には手狭な厨房があり、二人の料理人が仕事をしているが、店のHPに紹介されている料理長の顔は見当たらない。
一階左手には四人掛けのテーブル席が四つあり、客は計6名程座っていた。二階席へ案内されたので奥の階段から上へとあがる。二階へ上がると正面にはこの店で“テラス”と呼ばれる二人掛けのテーブル席が四つあるスペースと、右手には小上がりがあり、そこには四人掛けの掘りごたつ式テーブル席が四つある。この時はテラスに二組と小上がりに二組の計11名の客が二階で食事をしていた。
私達は小上がりの席へ通されたのでそこへ腰を下ろし、メニューを見ながらスタッフと相談する。脂身の多いロースよりもヒレが好みである旨を伝えたところ、この日は鹿児島純粋黒豚のヒレかつ膳と飛騨けんとん豚のヒレかつ膳を奨められたのでそれを注文した。
食事が運ばれてくるまでの間、改めて店内を見回すと、天井や壁、建具、それに照明の色・加減までもが昭和の懐かしい匂いがするノスタルジックな雰囲気の空間が演出されているようでなかなか良い感じである。
この店では、全国の上質な銘柄豚を取り揃えており、その中から仕入れの情況などによりその日店に出せる最高の状態のものを提供する・・・というのが謳い文句で、ちなみにこの日のメニューは以下の通りだった。
≪豚組膳≫
◆豚組膳(5種類/5個)/3,000円
・ロース(萬幻豚・白金豚・飛騨けんとん豚)
・フィレ(鹿児島純粋黒豚・飛騨けんとん豚)
◆豚組膳プレミアム(3種類/6個)※限定/4,500円
・ロース(イベリコ豚・東京X豚)
・フィレ(幻豚)
≪ロースのとんかつ膳≫
◆飛騨けんとん豚(岐阜・下呂)/1,950円
◆飛騨けんとん豚・超厚切り(岐阜・下呂)/2,800円
◆イベリコ豚(スペイン・イベリア)※限定/4,800円
◆COMOX2(北海道・中標津)※新登場/3,500円
◆萬幻豚(静岡・朝霧高原)/3,500円
◆青空放牧アグー豚/(沖縄・大宜味村)/3,800円
≪フィレのとんかつ膳≫
◆飛騨けんとん豚(岐阜・下呂)/2,200円
◆鹿児島純粋黒豚(鹿児島)/3,500円
※全ての御膳には「小鉢・御飯・きゃべつ・味噌汁・香の物」が付き、御飯ときゃべつはお代わり自由とのこと
さて、では注文した食事の内容はいかがなものか。
※小鉢
先ず最初に供された小鉢はふろふき大根だ。見た目にも心安らぐ一品である、が、出汁は薄味だが科学調味料か添加物が使用されているのか、不自然な刺激と味がする。

とんかつが運ばれてくる前にとんかつの“ソースセット”なるものが先に用意された。それは「ソース、辛子、塩」の三点セットである。ソースと辛子は当り前であるが、塩が出てくるとは意外である。ちなみにここで供された塩は淡いピンク色をしたアンデスの岩塩とのことだが、とんかつに塩とは如何なものか・・・
※鹿児島純粋黒豚のヒレかつ
見た目にもしっかりしたボリュームがあり肉厚ある黒豚のヒレかつは、上質な黒豚を使用している。が、一切れ口元に運んだ瞬間、若干だが油の酸化臭が鼻につく。揚げ油の管理がしっかりなされていないのか、それとも経費節減のためかは分からぬが、いずれにせよ揚げたてのとんかつからこのような臭いがしているようではいただけない・・・それでも、一口かじってみると衣の揚がり具合は良く、中身は黒豚特有の旨味があり歯応え抜群である。が、肉厚のあるせいか中まで火が通っていない・・・これには呆れた。更にソースは太陽ソースをベースにした自家製ソースとのことだが、とんかつ用のソースとしては熟成が足りず、旨味が少なく酸味が強い。ソース自体のオリジナリティもそれほど強くは感じないので、ここはもっと研究して欲しいものである。ソースはこの一種類のみなので、行き場がなくなり試しにアンデスの岩塩にもチャレンジしてみたが、しょっぱいだけでまったく旨くない。黒豚自体の味がしっかりしているため、塩だけでは完全に負けてしまう。

※飛騨けんとん豚のヒレかつ
黒豚と比較すると若干ボリューム感に欠けるが、こちらもなかなか上質な豚肉を使用している。黒豚と比べ衣の色から若干揚げ時間が少ないことが見てとれる。が、やはり同じく油の酸化臭が鼻につく・・・一口かじってみると衣の揚がり具合は良く、味は黒豚に比べあっさりしているので女性には好まれるかと思う。ちなみにこちらは中まで火が通っていた。

途中、白飯と味噌汁に箸を伸ばす。米は水に浸し過ぎか研ぎ過ぎのようで腰と歯応えにやや欠けているものの、炊きたてのようなので、電子ジャーの中で長時間保温され乾燥した米よりは良い。赤出汁の味噌汁はとんかつに併せるには弱く物足りない。もっとしっかり出汁を引くべきである。
※香の物
上から時計周りに、野沢菜漬け・きゃべつと胡瓜の浅漬け・大根の燻り漬け

※デザート/黒蜜のゼリー
黒蜜のゼリーは一般的な“ゼリー”という食感ではなく、もっと硬く弾力と歯応えのある一品である。ミルクときな粉が添えられさっぱりとしている。

※デザート/紅芋のアイス
紅芋のアイスはさっぱりしているものの、どこかまったり感があり想像以上に甘い。女性には受けるかも知れない。

この店は、これまでのとんかつ屋にはない新しいスタイルのとんかつ屋である。素材となる豚肉の仕入れにこれほど手を拡げこだわった店は他にないだろう。また、客の立場からは幾つもの銘柄豚を食べ比べできるというメリットがあり、これはこれで楽しめる。更に、スタッフの接客態度も丁寧で好感がもてた。それらの点でこの店のアイデアと努力は評価できる。しかしながら、上質な銘柄豚を取り揃え他店との差別化を計ろうという着目点は良いが、それ以前にとんかつ屋としての基本的な力量不足が否めない点が誠に残念であった。油の管理や素材の種別による揚げ方の違いなど、他の一般店で当り前になされていることが出来ていないということは、この日厨房にいた料理人の注意力が散漫なのか未熟であるとしか思えない。若しくは、これだけのブランド素材を豊富に取り揃えているのだから、その優位性と話題性だけで客が皆喜ぶであろうという慢心が店側にあるのだとしたら、それは大きな間違いである。
それともうひとつこの店の大きな欠点はソースが頼りない点である。ソースはとんかつに欠かせない存在であり、主役であるとんかつの味を引き立てる重要な役割を果たしている。これだけ上質な銘柄豚を取り揃えているのだから、素材に合ったソースを研究し、熟成させて欲しいと切に願う。アンデスの岩塩をご愛嬌でテーブルに並べるくらいなら、もう一種別のタイプのソースを開発し供して頂きたいと思うのは私だけであろうか・・・
上質な素材を数多く調達し、それをとんかつという庶民の愛する一品料理で勝負し、客を楽しませようというこの店のポリシーにはエールを送りたい。が、まずはソースを含めとんかつという料理の基本を見つめ直すところから立直して欲しい・・・
※お土産/飛騨けんとん豚弁当(ロースかつ)


●住 所/港区西麻布2-24-9
●電 話/03-5466-6775
●訪問日/2007年11月25(日)
●入店時間/20:25
●オーダー/鹿児島純粋黒豚膳(ヒレかつ)3,500円・飛騨けんとん豚膳(ヒレかつ)2,200円・飛騨けんとん豚弁当(ロースかつ)2,800円・デザート×2
●会 計/10,300円
この日は娘と渋谷で買い物をした帰りに、“豚組”の暖簾をくぐった。この店は西麻布の路地裏にある。この界隈には隠れ家風の飲食店が点在しているが、この店もそんな一軒といえるかも知れない。昭和30年代に建てられた民家を改装したというこの店は正に昭和の雰囲気を醸し出している。

引戸を開け店内へ入ると目の前には手狭な厨房があり、二人の料理人が仕事をしているが、店のHPに紹介されている料理長の顔は見当たらない。
一階左手には四人掛けのテーブル席が四つあり、客は計6名程座っていた。二階席へ案内されたので奥の階段から上へとあがる。二階へ上がると正面にはこの店で“テラス”と呼ばれる二人掛けのテーブル席が四つあるスペースと、右手には小上がりがあり、そこには四人掛けの掘りごたつ式テーブル席が四つある。この時はテラスに二組と小上がりに二組の計11名の客が二階で食事をしていた。
私達は小上がりの席へ通されたのでそこへ腰を下ろし、メニューを見ながらスタッフと相談する。脂身の多いロースよりもヒレが好みである旨を伝えたところ、この日は鹿児島純粋黒豚のヒレかつ膳と飛騨けんとん豚のヒレかつ膳を奨められたのでそれを注文した。
食事が運ばれてくるまでの間、改めて店内を見回すと、天井や壁、建具、それに照明の色・加減までもが昭和の懐かしい匂いがするノスタルジックな雰囲気の空間が演出されているようでなかなか良い感じである。
この店では、全国の上質な銘柄豚を取り揃えており、その中から仕入れの情況などによりその日店に出せる最高の状態のものを提供する・・・というのが謳い文句で、ちなみにこの日のメニューは以下の通りだった。
≪豚組膳≫
◆豚組膳(5種類/5個)/3,000円
・ロース(萬幻豚・白金豚・飛騨けんとん豚)
・フィレ(鹿児島純粋黒豚・飛騨けんとん豚)
◆豚組膳プレミアム(3種類/6個)※限定/4,500円
・ロース(イベリコ豚・東京X豚)
・フィレ(幻豚)
≪ロースのとんかつ膳≫
◆飛騨けんとん豚(岐阜・下呂)/1,950円
◆飛騨けんとん豚・超厚切り(岐阜・下呂)/2,800円
◆イベリコ豚(スペイン・イベリア)※限定/4,800円
◆COMOX2(北海道・中標津)※新登場/3,500円
◆萬幻豚(静岡・朝霧高原)/3,500円
◆青空放牧アグー豚/(沖縄・大宜味村)/3,800円
≪フィレのとんかつ膳≫
◆飛騨けんとん豚(岐阜・下呂)/2,200円
◆鹿児島純粋黒豚(鹿児島)/3,500円
※全ての御膳には「小鉢・御飯・きゃべつ・味噌汁・香の物」が付き、御飯ときゃべつはお代わり自由とのこと
さて、では注文した食事の内容はいかがなものか。
※小鉢
先ず最初に供された小鉢はふろふき大根だ。見た目にも心安らぐ一品である、が、出汁は薄味だが科学調味料か添加物が使用されているのか、不自然な刺激と味がする。

とんかつが運ばれてくる前にとんかつの“ソースセット”なるものが先に用意された。それは「ソース、辛子、塩」の三点セットである。ソースと辛子は当り前であるが、塩が出てくるとは意外である。ちなみにここで供された塩は淡いピンク色をしたアンデスの岩塩とのことだが、とんかつに塩とは如何なものか・・・
※鹿児島純粋黒豚のヒレかつ
見た目にもしっかりしたボリュームがあり肉厚ある黒豚のヒレかつは、上質な黒豚を使用している。が、一切れ口元に運んだ瞬間、若干だが油の酸化臭が鼻につく。揚げ油の管理がしっかりなされていないのか、それとも経費節減のためかは分からぬが、いずれにせよ揚げたてのとんかつからこのような臭いがしているようではいただけない・・・それでも、一口かじってみると衣の揚がり具合は良く、中身は黒豚特有の旨味があり歯応え抜群である。が、肉厚のあるせいか中まで火が通っていない・・・これには呆れた。更にソースは太陽ソースをベースにした自家製ソースとのことだが、とんかつ用のソースとしては熟成が足りず、旨味が少なく酸味が強い。ソース自体のオリジナリティもそれほど強くは感じないので、ここはもっと研究して欲しいものである。ソースはこの一種類のみなので、行き場がなくなり試しにアンデスの岩塩にもチャレンジしてみたが、しょっぱいだけでまったく旨くない。黒豚自体の味がしっかりしているため、塩だけでは完全に負けてしまう。

※飛騨けんとん豚のヒレかつ
黒豚と比較すると若干ボリューム感に欠けるが、こちらもなかなか上質な豚肉を使用している。黒豚と比べ衣の色から若干揚げ時間が少ないことが見てとれる。が、やはり同じく油の酸化臭が鼻につく・・・一口かじってみると衣の揚がり具合は良く、味は黒豚に比べあっさりしているので女性には好まれるかと思う。ちなみにこちらは中まで火が通っていた。

途中、白飯と味噌汁に箸を伸ばす。米は水に浸し過ぎか研ぎ過ぎのようで腰と歯応えにやや欠けているものの、炊きたてのようなので、電子ジャーの中で長時間保温され乾燥した米よりは良い。赤出汁の味噌汁はとんかつに併せるには弱く物足りない。もっとしっかり出汁を引くべきである。
※香の物
上から時計周りに、野沢菜漬け・きゃべつと胡瓜の浅漬け・大根の燻り漬け

※デザート/黒蜜のゼリー
黒蜜のゼリーは一般的な“ゼリー”という食感ではなく、もっと硬く弾力と歯応えのある一品である。ミルクときな粉が添えられさっぱりとしている。

※デザート/紅芋のアイス
紅芋のアイスはさっぱりしているものの、どこかまったり感があり想像以上に甘い。女性には受けるかも知れない。

この店は、これまでのとんかつ屋にはない新しいスタイルのとんかつ屋である。素材となる豚肉の仕入れにこれほど手を拡げこだわった店は他にないだろう。また、客の立場からは幾つもの銘柄豚を食べ比べできるというメリットがあり、これはこれで楽しめる。更に、スタッフの接客態度も丁寧で好感がもてた。それらの点でこの店のアイデアと努力は評価できる。しかしながら、上質な銘柄豚を取り揃え他店との差別化を計ろうという着目点は良いが、それ以前にとんかつ屋としての基本的な力量不足が否めない点が誠に残念であった。油の管理や素材の種別による揚げ方の違いなど、他の一般店で当り前になされていることが出来ていないということは、この日厨房にいた料理人の注意力が散漫なのか未熟であるとしか思えない。若しくは、これだけのブランド素材を豊富に取り揃えているのだから、その優位性と話題性だけで客が皆喜ぶであろうという慢心が店側にあるのだとしたら、それは大きな間違いである。
それともうひとつこの店の大きな欠点はソースが頼りない点である。ソースはとんかつに欠かせない存在であり、主役であるとんかつの味を引き立てる重要な役割を果たしている。これだけ上質な銘柄豚を取り揃えているのだから、素材に合ったソースを研究し、熟成させて欲しいと切に願う。アンデスの岩塩をご愛嬌でテーブルに並べるくらいなら、もう一種別のタイプのソースを開発し供して頂きたいと思うのは私だけであろうか・・・
上質な素材を数多く調達し、それをとんかつという庶民の愛する一品料理で勝負し、客を楽しませようというこの店のポリシーにはエールを送りたい。が、まずはソースを含めとんかつという料理の基本を見つめ直すところから立直して欲しい・・・
※お土産/飛騨けんとん豚弁当(ロースかつ)



「まい泉 青山本店」
●住 所/渋谷区神宮前4-8-5
●電 話/03-3470-0071
●訪問日/2007年3月25日(日)
●入店時間/20:40
●オーダー1/黒豚ヒレかつ膳/2,940円(黒豚ヒレかつ・キャベツ・ご飯・味噌汁・お新香・
大根おろし・夏みかんのシャーベット)
●オーダー2/お好み膳/1,575円(一口ヒレかつ・車海老フライ・エビクリームコロッケ・
キャベツ・ご飯・味噌汁・お新香・大根おろし・夏みかんのシャーベット)
●単 品/カニときゅうりのサラダ・ポテトサラダ・ヒレかつサンド6切れ×2(お土産)
●会 計/6,982円
今日は娘を連れまい泉 へ行ってきた。
私が初めてこの店の暖簾をくぐったのはもう20年以上も前のことだ。ちょうど現青山本店が現在の姿に拡張され間もない頃のことだった。当時は風呂屋を洋館風に改築したとんかつ屋ということでも話題になっていたが、実際に店に来てみてその威容ともとれる巨大な店の造りに「これがとんかつ屋か・・・」と驚いたものである。しかし、驚いたのは店の造りだけではなくその巨大なとんかつ屋に行列が出来ているではないか!その時、「とんかつという食べ物は行列してまで食べたいと思うものか・・・!?」と並ぶか否か自分の中で考え戸惑ったことを記憶している。
あの頃から今日までにまい泉がに大きく変わったことと言えば、ひとつは出店の数が増えたことだ。有名百貨店のレストラン街や地下の食品売場、空港、その他等々お惣菜・お土産売店まで含めるとの100に迫る出店の数を誇っているようだ。それともうひとつは新メニューが幾つか開発されたことだろう。中でも特筆すべきは沖田の黒豚である。黒豚の神様といわれ養豚界では初となる内閣総理大臣賞を受賞した沖田速男氏が営む鹿児島沖田農場産の黒豚がこの店のラインナップに加わったことは大きい。
だが、ここで二つはっきりさせておこう。一つ目はまい泉のとんかつはここ青山本店で食べるとんかつが一番旨いしこの味は以前から変わっていない。でも、本店の味を知っている客が支店で同じものを食べても旨くは感じないということ。二つ目は、豊富過ぎるメニューの中から何を選んで食するべきか・・・いつも迷ってきた。これにはその時々の体調や思いもあるだろうが、とんかつを食べることを目的としてこの店に来たのならばそれはズバリ“黒豚のヒレかつ膳”である。これはこの店に20余年通った私が出した結論だ!ということで本日も迷わずに黒豚のヒレかつ膳を注文した。

写真では本物の旨さを伝えられないのが残念だが、厚みは2cmオーバーはあろうかという代物だ。が、中身の豚肉は一枚ずつ手作りで仕込まれとても柔らかく仕上げられているので力をこめることなく簡単に切れる。これが“箸で切れるとんかつ”たる所以である。更に衣に使うパン粉も自家製のパンをこのとんかつにベストマッチするよう挽かれていて、さっぱりとしたサクサク感がたまらなく良い。当然のことながらとんかつを揚げる油の調合も研究し尽くされていて、まい泉のとんかつは食事中も食後も油でもたれるようなことがない。
さて、お次はソースだ。とんかつにとってのソースはなくてはならないもので、銀座の由松のように「旨い天ぷらは天つゆなしで食え!」とばかりに塩とレモン汁だけを出されてもそれは反論なく美味しく頂けるものだが、とんかつをソースなしで食べろと言われてもそれはまた違うように思う。いやとんかつにはソースがあった方が旨い!
と、ここでこの店のご主人の名言を一言ご紹介する。「肉と衣とソースが三味一体となって初めて口の中でとろけるようなおいしいとんかつができあがります。」なるほど、やはりとんかつにソースは欠くことのできない大切なパートナーのような存在なのである。故にまい泉ではソースにも抜かりがない。
この店では全部で三種類のソース(全て自家製)を用意しているが、客の好みで使い分けられるのは写真の甘口・辛口の二種類である。※写真中央はカラシ

だが、黒豚のとんかつにはヒレ、ロースに関わらず“黒豚専用ソース”というものが特別に供される。以前は他のソース同様に“黒豚”と書かれた陶器の壷のまま出されていたが、本日は黒豚膳がひとつのせいか器に適量移された状態にて出された。※下の写真
実はこのソースがあるからこそまい泉のとんかつはうまいのだと断言できる。この特製ソースのベースはりんごで、その他野菜を中心に自家調合のうえ醗酵させる秘伝のレシピで造られており、自然な甘みと程よい酸味がとんかつの油を中和してくれるので、さっぱり美味しく頂けるというわけだ。黒豚のヒレかつにこのソースをつけて口の中へ入れると正に“三味一体”の言葉の意味を噛み締めることになる。

最後になるが、この店には実は黒豚のヒレかつをも凌駕するかのような凄いメニューが存在する。それは“沖田のメンチカツ”(315円)だ。とんかつはまい泉の完成された技術をもってすれば沖田の黒豚でなく従来の黒豚で上等だ。むしろそちらの方がとんかつとしての完成度は高いと評される場合もある。しかし沖田のメンチだけは如何ともしがたい領域にある。沖田農場で飼育された黒豚とまい泉というとんかつ屋で培われた技術が融合してこそ誕生した逸品であろう。このメンチカツをあれこれ活字で表現するのは難しく一言でいうならば「こんなメンチカツはこの店でなくては食べられないだろう」ということだ。
沖田のメンチカツは一日の生産数量に限りがあるので、売切れになってしまうことが多く注文できたときは幸運である。ちなみに残念ながらこの日も売切れであった・・・
帰りは満腹の腹をさすりながら、定番のヒレかつサンドを土産にぶら下げ店を後にした。
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