食道楽 ━KUIDORAKU━

“食”に対する飽くなき探究心から更なる高みを求め至福の食道楽の道へ!!
味満ん
「ふぐ 味満ん」

●住 所/港区六本木3-8-8
●電 話/03-3408-1512
●訪問日/2007年12月11日(火)
●入店時間/18:15
●オーダー/下記参照
●会 計/124,950円


 この日は河豚料理における“六本木の雄”味満んを訪問した。この店は六本木の路地裏にあり、すぐ近所にはこの界隈で人気の和食処“いさご家”などが軒を連ねる。
味満んは外見からはとても高級河豚料理店とは思えぬ佇まいの店だが、食通の諸兄の中にはこの味満んこそが質・価格ともに東京一であると言われる方もおられる。
引戸を開け店内へ入ると女将さんが笑顔で迎えてくれる。10席ほどのカウンターにはまだ客は誰もいないが、座敷には先客がいるようでカウンターのなかでは大将が忙しそうに仕事をしている。連れも遅れているようなので、カウンターの端に腰を下ろし先ずはビールで喉を潤し、しばし待つことに。

その間、雑談交じりに河豚についての話しを聞かせて頂く。味満んでは主に2〜3kg程度の下関の天然虎河豚を扱っており、時には大分から入荷した虎河豚を使うこともあるとか。仕入れに関しては全て築地の中卸を通しているので地元の漁師などから直買いすることはなく、その為、品質が安定しロスがないとのことだ。この辺の意見は「旨い河豚は築地にこない!」と言う、銀座福治の大将とは対照的である・・・そんな話しを聞いていると、ほどなく連れが到着したので料理を始めて頂くことに。

この日の献立

●通し
白魚と山芋の千切り
新鮮な白魚と山芋の千切り、それに安岡葱を塗しポン酢で和えてある。普通に旨い。

●ふぐ刺(二人前)
ここでふぐ刺を肴に鰭酒を頼む。
やや厚めに引かれたふぐの刺身は福治の刺身と似て飴色に変化しかかり旨そうである。身皮の湯引きもたっぷり添えられ結構なボリュームがある。別の小鉢には各々に見た目にも新鮮な安岡葱と紅葉卸が大量に供された。このあたりのサービスと心配りが嬉しい。
先ずは、何もつけずに一口食してみる。身は締まりやや硬いが旨い。だが、見た目の色とイメージからくる味とは少々ギャップがあり、いまひとつ熟成に欠けているのか、旨味が足りないので物足りない・・・

●白子焼き(4つ)
味満んでは白子を食べたい数だけ注文できる。このときは一人二つずつの白子を注文した。
カウンター越しに仕事ぶりを覗っていると、白子は10cm程の大きさに揃えてから軽く塩を振り焼き始める。それが焼きあがり、目の前に供されたときには6〜7cm程度の大きさに縮んでいた。こちらは普通に旨い。鰭酒に注ぎ酒をして頂く。

●唐揚げ(6つ)
白子同様に唐揚も食べたい数を注文する。こちらは三つずつ頼んだ。
大降りの唐揚は中骨の周囲の部位が二つと顎の周囲の部位が一つ供された。
高級河豚料理店の河豚唐揚を前にしてこんなことを言っては無粋と叱られるかも知れないが、見た目はケンタッキーのフライドチキン(手羽元でない方)のようである。しかしながら、この唐揚は流石に旨い。下味の加減も絶妙で全て手掴みで頂いた。中でも特に顎の周囲の部位は美味であった。

●焼河豚(4つ)
鰭酒を新規で追加し、焼河豚は二つずつ注文する。
こちらも中骨の周囲の部位が二つ供される。軽く塩をふってから焼かれた河豚は添えられた酢橘をひと絞りしてから手づかみで噛り付く。あっさりしていて旨い。

●河豚ちり(1人前)
欲張って大きな唐揚を三つと焼河豚を二つも頂いたせいか、ここまでで大分腹が膨れてきたので、鍋は一人前をお願いし様子を見ることに・・・
鍋に入る具は、
・ふぐのしゃぶしゃぶ×4
・ふぐのあら(中骨)×4
・ふぐのあら(顎)×2
・長葱
・豆腐(絹)
・春菊
である。これで一人前なのだから、充分過ぎる量だ。
給仕は全てお店の方がしてくれるので、こちらは取り分けられた椀の中身を頂くだけである。普通に旨い。

●雑炊(1人前)
〆の雑炊も一人前でお願いする。
具を全て平らげ、空になった鍋は一旦引き上げられ大将に仕上げて頂く。
5分ほどで雑炊となって戻ってきた鍋の中を覗くと実に旨そうに見える。やはり河豚料理の〆は雑炊だ!
大き目の茶碗に軽く一膳よそって頂き一口食する。河豚の出汁がしっかり出ていて旨い。溶卵は鍋の中で混ぜ過ぎずにやや形が残っている状態なので食感がありこれも旨い。二口、三口と進むにつれ、やや塩加減が強いことが気になったが一膳完食した。連れが二膳目をお代わりして雑炊も完食となった。
雑炊とともに供された漬物は胡瓜と大根を薄切りにしたぬか漬けとのことだが、この漬物には何か別の味付けがしてあるようで旨いとは感じられない。ごく普通のぬか漬けの方が美味いと思うのだが・・・

●デザート
この日は、柿とイチゴが供された。柿は甘みがあり旨い。イチゴは普通。

 全て完食してここまで二時間ちょっと、全体的に質の高い河豚料理であった。特に唐揚と焼河豚は他店ではなかなか味わえない部位ばかりを供して頂き大変満足した。このあたりの拘りがこの店の根強い人気の所以でもあるように感じる。また料理を出すタイミングも良く、接客も丁寧なのでお店の方にも好感がもてる。
しかし、あえて比較するならば河豚そのものの質の良さと旨さはやはり福治が優勢である。
福治
「銀座 ふぐ福治」

●住 所/中央区銀座5-11-13 幸田ビル3F
●電 話/03-5148-2922
●訪問日/2007年10月29(月)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2・ビール・その他
●会 計/106,000円


 一足早く冬の味覚を味わおうと、東京一とも言われる河豚の名店“福治”を訪問した。浅草で13年、銀座で20年、多くの食通を魅了してきたこの店は豊後水道の天然虎河豚のみを供することで知られており、河豚にうるさい客に大変人気のある店である。

【メニュー】
◆竹/26,000円
通し・ふぐさし・ふぐちり・雑炊・香の物・水菓子

◆松/33,000円コース
通し・ふぐさし・ふぐ唐揚・ふぐちり・雑炊・香の物・水菓子

◆単品
・ふぐさし/12,000円
・ふぐちり/12,000円
・ふぐしゃぶしゃぶ/12,000円
・ふぐ唐揚/8,000円
・焼ふぐ/8,000円
・湯引き/6,000円
・皮さし/4,000円
・白子焼/時価

 上記が福治の通常メニューであるが、この日は大将に美味しいところを見繕ってもらい、おまかせコースを供して頂くことに。

以下この日の献立である。

●通し
烏賊の塩辛・さざえの壷焼き・栗の茶巾絞り



●河豚刺し
「天然の虎河豚は〆てから二日は寝かさないと身が硬くて食えない・・・」とは大将の弁。厚めに引かれた刺身は身が締まり、味、歯応えともに充分で文句なく旨い。



●白子焼
「この時期は白子がまだ親指ほどの大きさしかないので・・・」と、大将からあまりお奨めしないような口ぶりで言われたが、「それでも!」とお願いして出して頂いたのがこの白子焼。可愛い一口大の白子が五つ酢橘を添えて供された。口元に運ぶと芳ばしい香りが鼻をつく。それを口の中へ入れると中身はとろけるように柔らかく、まったりと旨い。



●河豚唐揚
薄味のついた河豚の唐揚は衣が薄くカラっと揚がっている。中身はほくほくでふんわりと柔らかい。美味。



●焼河豚
顎の周りの部分を使った焼河豚は、シンプルながら素材の良さが際立つ逸品で、薄塩にて芳ばしく焼かれている。骨までしゃぶりついて頂いた。美味!



●河豚しゃぶしゃぶ(ここから最後の雑炊まで全て大将に仕切って頂く)
これは白身魚の刺身ではなく河豚の切り身。見た目の色艶も良く、この大きな厚切りの切り身をしゃぶしゃぶで頂く!



●河豚ちり(具)
本来は他にもっと野菜類が入るが、ここまで沢山河豚を胃袋へ詰め込んでしまったので、〆の雑炊へ辿り着くために具の量を減らして頂いた。



●雑炊
鍋を空にし、雑炊へ移る前に鍋の中に残った透明な出汁のスープを小椀にて供して頂いた。一口呑んだ瞬間に「旨い!」と声が出た。河豚でこれだけ旨味のある出汁がとれるとは驚いた。そしてこの出汁でつくった雑炊は最高に旨かった!



●香の物
自家製のぬか漬けはこの雑炊によく合う家庭的な味。



 ここまで約1時間30分、河豚以外に食べたものといえば先付の小鉢と鍋の中の白菜、豆腐、それに漬物くらいだが腹は満腹で、大いに満足な河豚づくしであった。
食事のあとに近年の異常気象の煽りを受けてか、豊後水道の天然虎河豚も漁獲高が低く、その分仕入れが大変なので11月からは提供価格の値上げをせざるを得ないと大将が嘆いていた。最近では三河湾辺りの虎河豚も多く市場に出荷されているようだが、やはり味が違うのでこの店では扱わないとのこと。なるほど・・・それでも今シーズン10回は来店する旨約束して、満腹の腹をさすりながら福治を後にした。
山田屋
「臼杵(うすき)ふぐ 山田屋」

●住 所/港区西麻布4-11-14 FLEG西麻布VIERGE地階A
●電 話/03-3499-5501
●訪問日/2007年10月20(土)
●入店時間/19:00
●オーダー/20,000円コース×7・焼河豚×3・ビール・ひれ酒・その他
●会 計/200,000円


 この店は大分県臼杵にある老舗“料亭山田屋”の東京出店で、オープンして1年のまだ若い店だ。この日同行した女性から大分の本家は某女性ボーカリストの実家であるという話しを聞いたが、店側としては特に派手なPRなどは行っておらず、じっくりと腰を据えた商売をこの地で展開していく方針とのことであり、そのような姿勢には好感がもてる。
ロケーションとしては、この界隈に点在する隠れ家的な店としての側面を持ちつつも、店自体の構えや造りはとても立派である。デザイン的に和のテイストを基調としながらモダンなセンスを併せ持った洒落た雰囲気の店である。

【山田屋の河豚メニュー】
◆20,000円コース
小鉢・刺身・唐揚・ちり鍋・雑炊・デザート

◆25,000円コース
小鉢・前菜・刺身・唐揚・黄飯白子寿司・ちり鍋・雑炊・デザート

◆30,000円コース
おまかせ

◆単品
・ふぐ刺身/8,000円
・ふぐ唐揚/3,500円
・ふぐちり/8,000円
・焼ふぐ/3,800円
・ふぐたたき/3,500円
・ふぐ白子焼/5,000円

 今月二度目の訪問となったこの日、メンバーが全て揃うのに少し時間がかかったため、先着順にてビールで喉を潤すことに。その際店側の計らいで洒落たつまみが供された。

※ドライベジタブルのおつまみ



 ビールとつまみで適当にやりながら、20,000円のコースに追加で白子焼と焼ふぐをお願いするつもりでいたが、この日はまだ白子が出せないとのことで、焼ふぐのみを三人前注文し様子を見ることに。

すると程なく全員到着し着席したので早速始めて頂いた・・・

●先付
※上から時計回りに、チーズ豆腐のいくら乗せ、芹の胡麻和えホタテ入り、もずく酢
竹籠に収められ小奇麗に飾られた先付に女性陣からは「可愛い」とか「美味しそう」などと歓声が上がる。確かに料理は目で見て楽しむという観点から、見た目の美しさや盛付ける器などへの配慮も重要な要素を占める。が、肝心なのは味である・・・その点においてはこちらにはどれも特にコメントはない。



●ふぐ刺し
立派な有田焼の大皿に盛付けられたふぐの刺身は、山田屋自家製のポン酢で頂く。ここに添えられたあん肝を溶いてもよし。河豚は〆たあと上手に寝かせてあるようで、やや厚めに引かれているが、硬すぎず、身の締まり、厚み、歯応えが程々に良く旨い。本場の仕事が見て取れる一品である。但し、残念ながらカボスの下に添えられた大葉が痛んでいるのが玉に瑕である。





●鰭酒
ここで、刺身を肴に大分の純米酒「西の関」のひれ酒をお願いする。香ばしい香りと旨い酒に気を取り直す。



●河豚の唐揚
見た目にも鮮やかに盛付けられたふぐの唐揚はカボスを絞って頂く。大きな唐揚の脇には旬の食材である零余子(むかご)の揚物がさりげなく添えられている。



●焼河豚
コースに追加で注文した焼ふぐ。山の緑を連想させる器に、目にも鮮やかな紅葉で飾られた焼ふぐは醤油と味醂の照焼きにて供された。ご覧の通り見た目に大変美しい一品であったが、一口食してみて個人的にはシンプルな炭火焼に塩かカボスを絞って頂きたいと思った。



●河豚ちり
鍋に添える具は、長葱、白菜、豆腐、春菊、どんこ椎茸、丸餅である。こちらもきちっと籠に収められ供される。が、ここでも春菊が傷んでいるのが残念・・・


洒落た店造りの一環からか鍋用のコンロは用いず、テーブルに組み込まれた電子クッキングヒーターにて加熱調理される。電子ヒーターでふぐちり・・・どうも鍋の風情が失われるようで個人的にはコンロの方が好みであるが、
給仕は全て店のスタッフが行ってくれるので、客が鍋に手を出す必要はない。鍋全体のボリュームに対してふぐの量が少ないと感じるが、20,000円という価格を考えるとこんなものか



●雑炊
この店では一旦鍋を厨房へ引上げ雑炊をつくる。志の低い店ではこのときに科学調味料などで味を調えてから何食わぬ顔をして客に供するものだ。ここで供された雑炊は加熱の加減が上手く施され、卵と米の香りが強く残る。化学調味料などによる不自然な旨味や刺激は感じないが、食塩にて味を調えたようでやや塩辛い。また、やはり鍋の分量に対し河豚の量が足りていなかったため、この雑炊にはふぐの出汁と旨味が欠けている。これは前回の訪問時も同様であった。



●デザート
この日のデザートは奈良県産の代白柿が供された。見た目にも鮮やかなこの柿は、元は渋柿であるが渋抜き処理を施すことにより甘美な柿に変身する。



 この店は、東京出店に当りそれ相応の覚悟をされてきたことと推察する。それは店の設えやスタッフの所作、丁寧な接客態度などからも伺い知れる。また、料理に関してもこの価格設定でこの内容ならば決して高いとは思わず、むしろ東京では名のある同業他店がもっと高額な料金を客に請求し、質の落ちる河豚料理を出している店も多い。更にこの店の好印象なところは、全ての料理における盛付けや器へのこだわりがあり、それが料理に箸をつける前の客の目を楽しませることにつながっている。河豚料理専門店においてこれほどのこだわりをもつ店は少ない。それらの点を鑑み、この山田屋は優良店と言って良い。だが、河豚のコース料理においてその最後を〆る雑炊はその味がその店の全てを物語る・・・とも言われる。その点においては一考して頂きたいと願う。

最後に無理を言って料理長に解体前のふぐを見せて頂いた。
※このような状態の河豚を目にすることはあまりいないのでは・・・


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