食道楽 ━KUIDORAKU━

“食”に対する飽くなき探究心から更なる高みを求め至福の食道楽の道へ!!
かわむら
「かわむら」

●住 所/中央区銀座7-3-16 東五ビル1F
●電 話/03-3289-8222
●訪問日/2007年11月19(月)
●入店時間/20:45
●オーダー/おまかせ×2・ビール×2
●会 計/64,680円



 ネット上でも多くのレビュアーが“最も予約の取れない店”の一つとして位置づけているのがこの「かわむら」だ。先週、知人から「かわむらの肉が食べたい!」と猛プッシュを受け店に確認したところ「通常のディナータイムは年内の予約は一杯です・・・」とのことで、それでも何とかお願いをして席を確保したのがこの時間だった。
銀座の超人気店であるかわむらは、仕入れる牛肉を特定の産地や銘柄に限定せず、その日に仕入れられる最高の和牛を仕入れるというシェフのポリシーのため、客の立場としてはその時々において各産地や銘柄の最高級の和牛が食べられるという期待と楽しみがあるわけだ。

かわむらは由松から真っ直ぐに数奇屋通りを有楽町方向へ100m程歩いた右手の路地に入ったビルの一階にある。木製のドアを押して店内に入ると、左手に厨房を囲むようにこじんまりとした7席のカウンターがあり、その他にテーブル席などはない。席に腰を下ろし、先ずはビールで喉を潤す。シェフから「何か食べられないものはございますか?」と尋ねられたので、まったく無しとの返事をして料理はお任せすることに。あとはただ黙って座っているだけで万事物事が進んでいく。

この日献立は次の通り

●前菜
鯛・帆立・生サーモンのカルパッチョに蒸鮑と牛刺が添えられる。全てやや厚切りにて供されるのでボリューム感がある。刺身はどれもこれも抜群の素材を程良く寝かせてあり充分な旨味が出ている。大振の蒸鮑にはうっすらと味つけがしてあり柔らかくとても旨い。牛刺は見た目の色艶も良く最適な状態にエイジングされていると想像できる。それを一口食してみて納得する。この前菜ひとつでこの店のレベルの高さがうかがい知れ、この先の料理に期待が膨らむ。

ここで、シェフからステーキの焼き方を尋ねられたのでレアでお願いする。
厚み6〜7cm程はあろうかというヒレ肉の塊が目の前の炭火グリルに乗せられる。

●コンソメスープ
二品目に供された透明度の高いコンソメスープは、前菜での期待を確信に変えるものであった。手間をかけ丁寧な仕事が施されたこのスープは、色、香り、味の三拍子が見事に揃った一品で、この店のレベルの高さを無言で物語っているようだ。上品な味わいでありながらも滋味深く、コクと香り高いこのスープは身も心も温まる逸品である。

●野菜サラダ
百合根・蓮根・牛蒡・胡瓜・アスパラ・銀杏・レタスに旬の果物である柿なども入り、マヨネーズベースのソースがかかり、上からベーコンフレークがかかる。このサラダに入る素材はそれぞれ下ごしらえしてあるようで、ここでも一手間かけてある。家庭的な味で旨い。

●ヒレステーキ/180g
炭火で焼くこと約30分程度だろうか、焼きあがったメインのヒレ肉が目の前に置かれた。この日の牛肉は岩手産の極上和牛を使用しているとのことで、付合せには太く上質な隠元と下ごしらえされた玉葱が添えられる。別皿でステーキ用の塩と醤油が供された。厚みのある肉塊にナイフを入れる。弱い力ですっと切れる。それをなにもつけずに一口頂く。柔らかくて和牛特有の旨味が口中に拡がる。逆に高級和牛独特のクセの強い脂の風味は角がとれ円やかに緩和されさっぱりしている。更に驚くべきは味があることである。活字ではうまく表現できないが、「何もつけていないのに味がある」と言うことだ。
もう一口何も足さずにそのまま食する・・・やはり旨い。塩も醤油もつけなくとも和牛の旨味がはっきりとした味として伝わってくる。岩手産の和牛とはこれほど旨いものなのかと考えさせられる。ここで隠元と玉葱も味わってみる。隠元は色鮮やかで太くて歯応えも良く旨い。前もって加熱され下ごしらえの終わった状態で添えられた玉葱は柔らかく充分に甘みがありこちらも旨い。付合せの野菜は二品とも上質である。

ここでステーキへと戻り、添えられた塩を少々つけて食してみる。味が全体に締まり非常に旨い。これだけ旨味の凝縮した和牛ならばさっぱりと塩だけで充分に完食できそうである・・・鉄板で焼いたステーキならば150〜160g程度食すると程々に胃袋への負荷がかかるものだが、このステーキはぺロリと胃袋へ収まってしまった。このときシェフに今のステーキは何グラムあったのか尋ねてみると「180g前後ありましたよ」との返答が返ってきた。んー、確かに見た目には大きな肉塊であったので、そのくらいの分量だったかも知れない。しかし、食した感覚的には150gあるかないか程度の感じであった。

●海老のカレーライス
食事はガーリックライスと海老のカレーライスとどちらが良いかと尋ねられたが、この日はカレーがお奨めとのことでカレーを頂くことにした。海老の旨味がしっかりとカレー全体に溶け込んでおり旨い。

●デザート
全て手作りのデザートは、プリン、バニラアイス、ヨーグルトのシャーベットの中から好きなものを自由な組合せで選べる。勿論全てを食することもできる。が、このときはプリンを選んだ。このプリンもやさしい味わいながら甘過ぎずさっぱりとしていて旨い。

 一通り完食して思うことは、この店の仕事はその全てが平均的にレベルが高く丁寧で繊細である、ということだ。また、かわむらシェフの人柄も良く、丁寧な接客を心がけられているところにも好感がもてる。最後に、なぜこれほどまでにかわむらのステーキは旨いのかとシェフに問いかけてみた。すると、低温の炭火で脂を落とさずにじっくり火を通すことにより、肉の中に脂が閉じ込められ和牛特有の繊細な旨味が引き出されるのだという・・・

是非、年内に再訪したい一軒である
うかい亭
「八王子 うかい亭」

●住 所/八王子市暁町2-14-6
●電 話/042-626-1166 
●訪問日/2007年9月24日(月)
●入店時間/19:30
●オーダー/鮑とうかい牛コース×3・車海老×3・ビール・ワイン・その他
●会 計/86,530円

 この日は、娘の誕生日だったのでドライブがてら久しぶりに八王子うかい亭まで足を伸ばすことにした。近年うかいグループはうかい亭をはじめとした支店の数が増え、数年前には銀座にも銀座うかい亭として出店している。だがやはり、味、サービス、趣き、全ての面においてやはりここ八王子がうかい亭の顔であろう。

※屋敷の正面玄関(ここで車をポーターに預ける)


※中庭を抜け店内へ


 都心部では考えにくい好条件の立地環境に在るこの店は、八王子市街が見渡せる丘陵に建つ。敷地内に車で乗り入れるとゆったりとした駐車場の先に店内へと続く玄関があり、そこで純白のジャケットに身を包んだ中年のポーター2名が客を出迎える。ここで車を乗捨て手入れの行き届いた庭園を抜け店内へ入ると、そこには重厚でかつ西洋風のテイストを取り入れた和の匠によって築かれた空間が広がっている。この店の内装が、160年以上前の富山の豪商、高田屋文兵衛が当時の貴賓をもてなすために建てた屋敷を移築したものであるということは有名な話しである。またうかい亭では随所にエミール・ガレやルネ・ラリックなどのガラス工芸品等々が展示されているが、うかいグループの創業者である故鵜飼貞男氏はエミール・ガレの作品につき個人としては世界一の収集家であったらしい。それらの作品の数々もこの店のインテリアを引立てることに一役買っている。

フロントで予約の名を告げ、待合室でしばし待つ。事前に1階の個室を頼んでおいたので、そのまま4名用のテーブル席へ通され腰を下ろす。この瞬間いつもながら関心するが、日々使い込まれているはずの鉄板はきれいに磨き上げられ、客を迎えるこの店の姿勢とクオリティが保たれていることに安心する。
まずはビールで乾杯し、メニューを眺めながら係りと相談して「鮑とうかい牛コース」を注文することに。アラカルトで車海老を人数分追加注文した。娘の誕生日ということもあり、見た目が派手な伊勢海老を目の前で料理して頂こうかとも考えたが、やはり味は車海老の方が良いので今回は伊勢海老を見送った。

【この日のコースメニュー】

◆旬の味覚 鮑とうかい牛コース/16,800円
◆うかい牛ステーキディナーコース/14,700円
◆夏の味覚とうかい牛コース/12,600円
◆ステーキディナーコース/10,500円

 鉄板焼の良いところはなんと言ってもシェフとの会話を楽しみながら、目の前で展開されるパフォーマンスが楽しめることである。ひとつひとつの食材が料理として完成するまでの時間と過程をじっくり観察しながらその作品を頂くことで、食する料理の味も更に際立つというものだ。そして、この店の最も良いところは他の鉄板焼屋と比べ、シェフのパフォーマンスが平均的に優れている点である。中でも特別なのが“鮑の岩塩蒸し”だ。このうかい亭名物ともいえる鮑の岩塩蒸しは、20年以上前に当時の二代目料理長坂本シェフが考案したとのことで、活鮑に西洋よもぎとケッパーをのせ、わかめで包んだうえから大量の塩をかぶせ蒸し焼きにする。鉄板にとって天敵ともいえる塩をこれでもかというほど大量に使い、客の目を楽しませるパフォーマンスをしてくれるのはこの店だけである。

【鮑とうかい牛コース】

●ゆり根のフラン
茶碗蒸し風といえばわかりやすいだろうか。ゆり根のほのかな甘味と苦味がアクセントを与えている。



●フレッシュホアグラの巨砲ソース
フランス産のフレッシュホアグラ50gに、ポルト酒、赤ワインなどを煮詰めたソースをかけて頂く。外は程よくカリっと焼けていて、中はとけるようにやわらかい。美味!残ったソースはパンにつけて頂く。



●松茸のコンソメスープ(※画像無し)
不覚をとり、撮影を忘れてしまったので画像は無いが、丁寧に手間をかけたコンソメスープは透通り、さっぱりしているもののコクがあって旨い。岩手産の松茸も充分な香りが出ていた。

※次の料理となる活車海老と活鮑が用意される


※一人前80g前後の車海老は熊本天草産。加熱により丸まらないないよう竹串を刺してから鉄板へ



●活車海老の蒸焼き
素材自体の味がよいので、シンプルに少量の塩と胡椒のみで蒸焼きにした。ケチャップベースの甘口チリソースとタルタルソースをお好みで。
※途中、頭と水かきの部分が解体され白ワインやレモン等で別の味付けにて供された。一番甘みと旨味のある水かきの部分は特に美味であった。



●活鮑の岩塩蒸しブールブランきのこソース
うかい亭オリジナル、鮑の岩塩蒸し!(きのこの下に鮑が隠れている)
“岩塩蒸し”とは言っても上述の通り、わかめでしっかり包んだうえから塩で覆い蒸焼きにするので鮑そのものに塩気は浸み込まない。この日は白ワインとバターのソース(ブールブラン)にきのこを合わせて供された。活鮑は三陸産のもので150g前後。以前はもっと大きな鮑も使っていたが、「一人でひとつの鮑を食したい」との客のリクエストで、現在では150gの鮑に統一して仕入れているとのこと。きのこソースには、しめじ・舞茸・ブラウンマッシュにエシャロットが加えられている。ちなみに、岩塩蒸しに使用する塩は岩塩ではなく並塩とのこと・・・



●うかい牛のサーロインステーキ
うかい牛とは鳥取と兵庫の県境にあるうかい亭指定牧場にて飼育された牛のことで、ルーツは但馬牛である。このうかい牛をトリュフのオイルと塩胡椒で焼く。焼加減はレアでお願いした。

ここで誤解の無いように一言加えるが、食道楽である私は食べ物に対する好き嫌いは皆無である。が、個人的な嗜好としては鉄板焼よりは網焼き、ロースよりはフィレと言った傾向であるので、このステーキは不味いとは言えないが美味とも思わない・・・まぁ、価格に見合っているというところか

付合せのにんにくは青森県田子産を使用。目の前の鉄板で焦がさないよう丁寧に焼いて頂く。同業他店などでは、作り置きの冷めて硬くなったにんにくスライスをステーキの付合せに供する店もあるが、あれにはガッカリさせられる。やはり目の前で焼いて頂いたにんにくは旨い!暖かくてサクサク軽い歯触りが肉の味を引立てる。サラダはチコリとマーシュ。


※ステーキ専用醤油(小豆島の大杉樽仕込2年熟成)
うかい亭のステーキ専用醤油は旨い!
やはりステーキには醤油が合う。なにが混ざっているかわからない手の込んだソースなどより、普通に醤油で頂くのが一番である。この醤油はご覧の通り透き通っていて若干弱々しい印象を受けるものの、ひと舐めしてみると驚くほどしっかりした味と甘み、それに独特のコクと切れが加わり、それでいて肉に対して変に主張し過ぎない。この醤油がこの店の肉の味を決めているといっても過言ではない。この醤油には何も足さずそれだけでも充分だが、玉葱の粗微塵切りを加えステーキと供に食すると何とも言い表せない旨さである。



●ガーリックライス
これはシェフの腕によるところが大きいだろうが、油を使っていることを感じさせないほどサッパリしていて旨い。鉄板に引く油は極少量のサラダ油を使用し、更にステーキとにんにくを炒めた脂を少量用い香りをつけ焼くように炒める。塩は昆布出汁に浸してから乾燥させたものを使う。醤油はキッコーマン。



●黒蜜とエスプレッソのパフェ
食事が終わると、いつも通り2階席へ移動してのデザートタイムとなる。この日は5種類のデザートの中から、うかい亭定番の“黒蜜とエスプレッソのパフェ”を頂くことに。内容はメープルシロップのアイスクリームと黒蜜仕立てのプリン、それにほろ苦いエスプレッソのゼリーが盛合わさる大人のデザートだ。


 デザートまで完食し、ここまでの所要時間は3時間超であったが、シェフや係りのスタッフとの会話で盛り上がり楽しく食事ができたおかげでとても短く感じられた。食事中彼らとの会話の中で出たことだが、常連客は皆、どの支店よりもやはりここ八王子うかい亭が旨いと口を揃えるそうだ。私もそう思う・・・

ただ、ひとつだけ残念なのは、以前うかい亭の定番であった炒めたもやしをパンに挟んで食する一品をこの店が止めてしまったということだ

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