食道楽 ━KUIDORAKU━

“食”に対する飽くなき探究心から更なる高みを求め至福の食道楽の道へ!!
竹葉新葉亭
「函館 湯の川温泉 竹葉新葉亭」

●住 所/北海道函館市湯川町2-6-22
●電 話/0138-57-5171
●宿泊日/2008年2月10日(日)
●部 屋/長福
●食 事/2食付(夕食・朝食)
●会 計/115,800円(2名1泊)


 函館二日目の宿は若松からほど近い場所にある“竹葉新葉亭”である。昭和24年創業のこの宿は歴史こそ若松に及ばぬものの、現在この地で最高の旅館と噂される宿である。

 宿に到着するとまずフロントにて記帳をする。これはいわゆる高級旅館では省かれる作業ではあるがここでは頼まれた。ロビーは小じんまりしているものの落ち着いた雰囲気だ。この宿は東館と南館の二棟に分かれており両棟合わせて計41の客室があるが、この日は比較的空いているようであった。この日私たちが案内された部屋は“長福”という部屋で、間取りは12.5畳+10畳+茶室+広縁のゆったりした造りの部屋で、広縁には宿の気配りから電動のマッサージチェアが置かれてある。この部屋は一階なので、窓の外には小じんまりした庭が雪化粧をしている様が楽しめる。が、部屋からの眺望は眼下に津軽海峡を望む若松の方が断然に良い。
若松も竹葉新葉亭も基本的な宿泊料金は三万円前後と差はないが、この日この宿では一般室よりもやや広い特別室を予約しておいたので、その分の費用が加算され上記のような金額となる。


この日の献立

●前菜/左上から時計回りに、雪掛けいくら・雲子時雨煮・合鴨燻製・ホヤ塩辛・車海老塩蒸し・もずく酢
どれも至極普通の品で特に印象に残るものはない



●造り/鯨ベーコン・平目・帆立・鮪・北寄貝・雲丹・海老・つぶ・ずわい蟹湯引
全体的に若松で供された造りよりも質・量共に上であるが、特別素晴らしいと言えるものはない。強いて言うならば北寄貝は旨かったが雲丹は最低である。



●焼物/活鮑の陶板焼
目の前の陶板で蒸し焼にされる活鮑は150〜160g前後のもの。味付けは薄っすらとした塩加減でなかなか良い。



●吸物/乗り合い汁〜タラバ蟹・帆立・つぶ・烏賊つみれ
この日最高の一品がこの乗り合い汁である。昆布と鰹ベースの透き通った出汁にそれぞれの具材の出汁が溶け込み見事なまでに味の調和が計られている。京味などで供される洗練された椀とはまた違うが、港町ならではの魚介を用いた吸物は傑作で身も心も温まる一品である。



●焚合/きんき芝煮・寒筍・梅麩
薄口醤油にてあっさりと煮付けられたきんきは淡白でありながら甘くて程よい歯応えで旨い。



●中皿/毛蟹
質の良い毛蟹は独特の旨味と甘みがあるものだが、こちらは平凡な品である。前日に若松で供されたものと差が無いように感じる。



●止肴/朝獲れ烏賊のぶっかけ
これを白飯にぶっかけて頂く。



●食事/白飯
こちらがぶっかけた状態。見かけは凄く旨そうに見えるこの烏賊のぶっかけ飯は、残念ながら実際に食してみると大したことはない。烏賊の旨味が足りないので、醤油をやや多めにかけなければならないのが残念。



●留椀/がごめ昆布味噌汁
コメントなし

●香の物
コメントなし

●水菓子/チョコレートムース・イチゴ・グレープフルーツ
コメントなし

 ここまで一通り。食後の感想としては前日に宿泊した若松よりもこちらの方が全体的にレベルが高かった。が、このレベルの料理を求め再訪するほどのものではない。
翌日の朝食は部屋食とブュッフェを選択可とのことであったので、大きな期待は寄せずに気分転換のつもりでブュッフェにしてみた。が、予想を下回る内容の朝食に料理を撮影する気も起こらずやや飽きれた。朝食に関して言えば若松に軍配が上がる。
もっとリーズナブルな大衆旅館であっても、もう少し気の利いた朝食ブュッフェをするものだが・・・



【この旅館に宿泊した感想】
●ロケーション
函館湯の川温泉の中心部からやや離れてはいるものの至近距離に位置する。眺望などは特に期待できない。

●施設
館内は清掃が行き届き清潔感がある。

●温泉
大浴場・露天風呂には源泉を使用。それぞれ男女各一つで、源泉かけ流し。深夜1時まで入浴可能。朝は5時から入浴可。

●接客・サービス
係りの仲居は年配の方で、やや気配りに欠ける点が垣間見られた。その他のスタッフ・従業員は人柄も良く丁寧な接客を心がけているように感じられた。

●食事
本文にも記述の通り、全体的に質の高い料理を提供しているとは言えない。

●結論
ご当地函館において高級旅館と噂されるこの宿も全国レベルで計ってしまうと厳しいポジションに位置することになる。だが、地元では常に老舗の若松と比較されているせいか、宿の設い、湯殿、食事全てにおいて後発のこちらがやや優勢であるように思う。次回この地を訪れる機会があるならば私は若松でなくこの宿を選ぶ。
割烹旅館 若松
「函館 湯の川温泉 割烹旅館 若松」

●住 所/函館市湯川町1-2-27
●電 話/0138-59-2171
●宿泊日/2008年2月9日
●部 屋/鶴
●食 事/2食付(夕食・朝食)
●会 計/61,192円(2名1泊)


 二月の連休を利用して北海道へ出かける機会に恵まれた。冬の北海道は厳しい寒さであることは承知のうえだが、この時期が旬の北の味覚を求め食道楽は北の大地へと足を踏み入れた。
 連休初日まず最初に降り立った地は世界三大夜景で有名な函館である。同じ北海道でも道南地区に位置する函館は道北地区や道東地区と比べ気温が高く、この日は夜になっても零下2〜3度程度で、東京人である私であっても身支度をしっかりしていれば何の問題もない寒さである。
この日の宿は函館湯の川温泉の老舗旅館“若松”である。若松は創業大正11年の老舗旅館で、この地では竹葉新葉亭と並ぶ高級旅館である。
若松の正面玄関前には創業当時より湧き続けているという自家源泉があり、もくもくと湯気をあげ天然温泉が噴出する様が見られ、大浴場とそこに隣接する露天風呂ではかけ流しの温泉に入浴できる。

 玄関で靴を脱ぎ館内へ入ると外見から想像する以上に大きなロビーが拡がっている。その奥向かって左手に二階建て純和風造りの本館、右手が八階建ての新館となる。フロントでの手続きはなく、私達は本館二階の‘鶴の間’という部屋へ真っ直ぐに通された。この部屋の間取りは手前に和室6畳、奥に和室10畳とつながっておりその先に広縁1.5畳程度の床の間がある。窓の外には真冬の津軽海峡が広がり、打ち寄せる波の潮騒が心地よく響く。宿に到着したのが19時を回っていたので、眼下の海は夜の闇に包まれていたが、日中はこの部屋から下北半島まで見渡せるという・・・等々と係りの仲居とやりとりしながら、しばしくつろぐことに・・・

ほどなくして食事の用意が始められる。事前に特別なリクエストはしなかったのでこの日は宿のお任せコース料理が供された。

この日の献立

●先付/海老蟹子和え
酒の肴によく合い旨い。



●前菜/上から時計回りに、粒柔煮・鴨ロース・黒豆の梅花ゼリー寄せ・蟹カステラ・子持ち鮎甘露煮・二色百合根・海老雲丹焼
どれも平凡な味覚ものばかりで特に印象に残るものはなし



●御椀/海老真丈・椎茸・紅白梅花・青味
出汁は薄味だが悪くない。海老真丈は柔らか過ぎるため椀の中で粉々に崩れてしまった。



●造り/本鮪・平目・ボタン海老・烏賊・鮑
特にコメントなし



●郷魚/槍烏賊重ね造り
特にコメントなし



●酢の物/毛蟹
特にコメントなし



●煮物/慈姑飛龍頭・筍・梅麩・小芋・菜の花
全て平凡な味覚にて印象に残るものなし



●焼物/寒鱒照焼
この日初めて旨いと思えた一品がこの寒鱒の照焼。焼加減、味付けともに申し分なく旨い。



●蒸し物/雲丹とフカヒレの羽二重蒸し
特にコメントなし



●食事/白飯・味噌汁・香の物

●水菓子/イチゴ・りんご・ぶどう

 上記、一通り食してみて感想は寒鱒照焼を除いてはどれも旨いと感じられるものはなかった。今後は老舗割烹旅館の名に相応しい料理を研究し提供して頂きたいものである。


【この旅館に宿泊した感想】
●ロケーション
函館湯の川温泉の中心部に位置しており、周囲には新旧合わせ幾つものホテルが建ち並ぶ。客室と露天風呂からは眼下に津軽海峡が望め眺望は良い。

●施設
二階建て和風造りの本館と八階建ての新館の二棟に分かれており、1階中央の広いロビーにて両館をつないでいる。館内はどこも清掃が行き届き清潔感がある。

●温泉
大浴場・露天風呂には源泉を使用。それぞれ男女各一つで、源泉かけ流し。深夜1時まで入浴可能。朝は5時から入浴可。

●接客・サービス
係りの仲居は人柄も良く接客上手で気持ちが良かった。その他のスタッフ・従業員も人柄も良く丁寧な接客を心がけているように感じられた。

●食事
本文にも記述した通り、質の高い料理は提供していない。

●結論
料金的にはリーズナブルといえる価格であるが、老舗割烹旅館という看板に相応しい料理は提供されないので、この宿の食事に期待してはならない。施設・温泉に関しては言えば悪くはないが、出色といえるものもない。
越前三国 川喜
越前三国 川喜

●住 所/福井県坂井市三国町中央2-2-8
●電 話/0776-82-1313
●訪問日/2008年1月12日(土)
●入店時間/14:30
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/85,050円


 この日は福井に出張が入り、ならば今が旬の北陸の冬の味覚の王者である越前蟹を頂かねば・・・と“川喜”の暖簾をくぐった。
川喜は福井の三国港で水揚げされる旬の魚介を扱う店として有名で、以前から機会があれば一度訪問したいと思っていた店である。

引戸を開け玄関へ入るとご主人自ら迎えて頂き、部屋まで案内して頂く。川喜では40名程の大部屋と通常の座敷が4部屋あるそうで、私たちは8畳程の部屋へ通された。程なくひとの良さそうな女将が現れご丁寧な挨拶をして頂く。事前の電話にて料理の内容は伝えてあったのでこちらは黙って運ばれてくるのを待つだけである。

広く世間一般に“楚蟹(ズワイ蟹)”と呼ばれている蟹は実は、地域によって呼称が異なり、北は北海道から富山・石川辺りまでがオス蟹を「楚蟹(ズワイ蟹)」と呼びメスは「香箱蟹」と呼んでいる。そのすぐ下の福井ではオスが「越前蟹」、メスを「せいこ蟹」と呼び、更に下へ降り山陰地方になるとオスを「松葉蟹」、メスを「親蟹」と呼んでいる。ちなみに漁期はオスが11/6から3/20、メスは11/6から1/10までと定められており、この日はメスのせいこ蟹を食せる今シーズン最後の週末であった。

●甘海老
前日に水揚げされたという甘海老は非常に色艶も良くひと目でその上質さが覗える。写真からも分かるように大量に卵を抱えており味の方も絶品。



●ひれ黒鰈の潮煮
鰈はとても柔らかくさらりとした脂がのり旨い。
透明で透き通った出汁はあっさりと薄い塩加減ながらコクと旨味がありこれがまた旨い。



●せいこ蟹
茹でたて熱々の状態にて登場したせいこ蟹


甲羅の中には鮮やかで濃いオレンジ色をした内子と蟹味噌が・・・茹でたての熱々がたまらなく旨い。



●越前蟹
箸の進み具合を計りながら、メインの越前蟹が茹で上がる。この蟹で18年ものとのこと。
蟹はただ茹でればよいというものではなく、蟹の質や杯数により水と塩の分量、火加減と時間の調整が肝要であり、これは長年の経験から得られるものであるという。下の写真のように茹で上がった蟹が立っている状態(おいたときに角度がある)が良い蟹とされているらしい。黄色いタグは三国港で水揚げされた越前蟹のブランドとしての証明。


川喜では茹でたての蟹を解体するのにハサミや蟹用のスプーン&フォークなどは一切使わない。脚の中にぎっしりと詰まった身を食するには関節ごとに手でへし折り、つけ根側の太い方を口にくわえ逆側から足の先(細い方)を押込み一気に口の中へ押出して食するのである。この食し方には慣れないと少々戸惑うが、一〜二度練習するだけでいとも簡単にできるようになる。こうすることで、茹でたての蟹の身と蟹汁を余すことなく頂けるというわけだ。女将曰く、「蟹は冷めると一気に風味が落ちてしまうので、熱々のうちに素早く召し上がって下さい」とのこと。


オスの甲羅はメスの三倍ほどの大きさで卵こそないが、蟹味噌は濃厚で旨い。こちらも熱々のまま頂く。写真にある白い部分は蟹のエキスと体液からなるもので、寒くなり蟹自体の旨味が増してくると増えてくるという。豆腐のような食感でクセやエグ味もなく淡白な味わいながら美味!



●雑炊
〆の雑炊は蟹の茹で汁を使用してつくられる。ここまで蟹三昧であったため、あえて蟹の出汁の風味は抑えた薄味仕立てに仕上げてあるとか。具は筍、三つ葉、長葱、海苔などが入る。とてもあっさりしている。



 ここまでゆっくり約二時間の越前蟹尽くしであったが、噂に違わず、質、量ともに満足のいく内容であった。特にご主人の目利きによりこの日供された越前蟹は立派なもので、ご当地ならではの新鮮な蟹を熱々の茹でたてで頂く醍醐味は価値のある経験であった。また、人柄の良い女将の丁寧な対応と給仕にも感謝したい。
銀座 かつぜん
銀座 かつぜん

●住 所/中央区銀座六丁目8-7 交詢ビル4F
●電 話/03-3289-8988
●訪問日/2008年1月11日(金)
●入店時間/20:45
●オーダー/アラカルト(下記参照)
●会 計/36,575円


 この数日間何かと会社が慌ただしかったので慰労の意味も込め、いつも遅くまで仕事をしている部下二人に声をかけ、少し遅めの晩飯をとろうと交詢ビル4階の“かつぜん”を訪問した。かつぜんはカウンター9席と小上がり3〜4名程度の小さな店だが、私達が店に着いたとき丁度先客が引上げるところでタイミングが良かった。

●通し
大根の白和え・ほうれん草の胡麻和え
平凡な品で家庭料理の域である。

●蟹の酢の物×3
越前蟹・春菊・しめじ
どの素材も褒められたものではなく、酢が弱いので締りが無い。



●自家製漬物盛合わせ
大根・人参・蕪・白菜・胡瓜の糠漬けに薄切り大根の柚子巻きが入る。この漬物は普通に旨い。



●季節のサラダ(温製)
サラダの素材は、トマト・人参・蕪・ブロッコリー・パプリカ・カリフラワー・アスパラなどが用いられ、香ばしい胡麻風味のドレッシングがかかる。素材として使われている野菜はどれもこれも質的に平凡な品であるが、ドレッシングの味は印象的に残るものである。



●冷奴×3
五右衛門豆腐の絹ごし冷奴。まぁ普通。

●出汁巻き卵焼
甘過ぎる。女性向けか・・・



●左)とんかつソース/右)にんにくと胡麻ねぎのソース
かつぜんでは二種類のソースが供される。写真左のとんかつソースはいまひとつ。というより旨くないというのが率直なところか。
右側はかつぜんオリジナルのにんにくと胡麻ねぎのソース。こちらは甘口なのでこれだけでは厳しいが、これを小皿などに取りとんかつソースと辛子を溶き合わせると不思議といける味に変化する。



●黒豚ヒレかつ×3
時間的なせいもあってか、口元へ近づけると揚げ油の酸化臭が鼻につく・・・
使用している豚肉の肉厚と旨味はそこそこである。が、付合せのきゃべつは下の写真で見ての通り切り方からして雑であり、一皿5,300円のとんかつの皿に乗る代物ではない。



●食事セット
この店ではコース料理以外には白飯と味噌汁がつかないので、食事セットとして別に注文しなくてはならない。白飯は旨い。味噌汁は合わせ味噌でとんかつには弱い。

【かつぜんの主なメニュー】

◆割烹コース/7,500円
◆黒豚とんかつコース/9,000円
◆イベリココース/12,000円

◆黒豚ロースかつ/5,000円
◆黒豚ヒレかつ/5,300円
◆リブロース生姜焼/5,000円
◆ロースかつ/3,800円
◆ヒレかつ/4,300円
◆季節のサラダ/1,800円〜
◆酢の物/900円
◆出汁巻卵/900円
◆自家製漬物盛合せ/1,200円
◆冷奴/1,050円
◆食事セット/1,050円
※上記全てにサービス料が別途加算される

 今回の訪問はこの店のオープン当初以来の再訪であった。当時は高級なとんかつ屋がオープンしたとの噂を聞きつけ興味本位で訪れてみたが、そのときの印象としては何の取柄もない店との記憶であった。が、今回はそれが確信となる。
池袋からこの地に移転し“とんかつ割烹 かつぜん”と店名まで変更したようだが、銀座で割烹と名乗るには力量的に大変無理があるように思う。特にとんかつ以外の料理に関して言えば出てくる品はどれも家庭料理の延長線上のようなものばかりで、素材そのものに対する目利きや拘りが全く感じられない。料理として客に供するための素材を吟味することは勿論だが、料理人の味覚と技量を鍛え直すことが先決である。また、カウンター席がメインのこの店では取分け気の利く給仕がいるわけでもなく、ただのとんかつ屋が全ての料理にサービス料を課すというのも頂けない。それもこれも背伸びをしてこのようなコストのかかる場所へ出店してしまったため、それが料金に反映し、結果としてそのしわ寄せが客に押付けられているということだろう。

この店では唯一、黒豚のヒレ肉(ロースは不明なので要調査)は一般的なとんかつ屋よりもそこそこに良いものを使っているし、また白飯と漬物は合格点なので、基本の揚げ油の管理を徹底し、味噌汁とソースを見直せば、あえて“とんかつ割烹かつぜん”などと背伸びをせず、身の丈に合った土地で“とんかつ かつぜん”として適正な価格で料理を提供する方が客からも喜ばれ商売も繁盛するのではないだろうか・・・と思うのは私だけか。
いずれにせよ、現在この店が提供している料理とサービスの内容は客が支払う料金に見合っていない。
京味
「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●訪問日/2008年1月7日(月)
●入店時間/19:00
●オーダー/おまかせ×2
●会 計/73,500円


 新年最初の京味訪問日がやってきた。この日は店の方も新年初日ということもあってか、私が入店したとき既に店内は盛況であった。大将の西さんも大変ご機嫌の様子で新年の挨拶をご丁寧にして頂きいつもの席に腰を下ろす。カウンターの向こう側では例によって8人程の料理人がいつになく活気に満ち溢れた様子で各々仕事をこなしている。そこにはいつもと変わらぬ独特の緊張感と空気が流れている。さて、新年初日の料理はどんなものが出てくるのか楽しみだ。

この日の献立

●雑煮
寒い身体に先ずは温かいものを・・・との配慮と、正月に相応しい一品としてこの日最初に供された料理は雑煮であった。 甘口の白味噌仕立てにて供された京風雑煮は、具に海老芋、京人参、大根、それに餅が入る。昔から京都では、家長である男の雑煮には頭芋を、女性の雑煮には海老芋をという慣わしがあるらしいが、大将曰く「最近では男が頭なのか女性が頭なのか分からなくなってきましたので、柔らかくて美味しい海老芋を入れときました。」と笑顔で・・・
私にはやや甘すぎる感がするものの、具材のひとつひとつに丁寧な仕事が施されており雑煮ひとつにも抜かりがない。奥深い味わいに身も心も暖まる一品である。

●先付
煮鮑・菜花のおひたし・なます
薄くスライスした煮鮑は味が浸み込み柔らかくて美味。旬の菜花のおひたし、なます、共にに申し分のない味である。

●越前蟹
先月、ボイルにて供された越前蟹は、この日は生の刺身で供された。今が旬の越前蟹は甘みがあり共に添えられた蟹味噌とともに頂く。


●ずいきの小椀
京味では定番となるずいき(芋茎)の含煮小椀。出汁で柔らかく煮たずいきにとろみを加え、最後におろし生姜を少々落とす。椀の蓋を開けたときに湯気とともに生姜の香りが立ち、とろみのある出汁からずいきを取り出して頂く。ずいきの独特の歯ざわりと食感がなんとも言えぬ味わいである。

●天ぷら
白魚と芹の二種で供された天ぷらはサクサク軽い揚がり具合で何もつけずに食して旨い。
●造り
この日の造りは、鯛、河豚、めじマグロの中トロである。鯛と河豚は京味定番のかわはぎの肝入りポン酢で頂く。ポン酢のさっぱりとした清涼感とかわはぎの肝のエグみのないまったり感が絶妙にマッチして美味!めじマグロの中トロは山葵と醤油で頂く。こちらもあっさりとしていて旨い。

●お椀
透明で透き通った出汁の中に見える具は、京人参、極小蕪、海老真丈、そして一番上には下が透き通って見えるほど極薄にスライスされた聖護院蕪が乗る。出汁はいつもながらしっかりしていて上品で旨い。椀の中の具はその素材のひとつひとつが良質であることは言うまでもないが、全ての具材に手間がかけられており、流石京味といえる非常に完成度の高い椀である。

●焼き物
焼き物は、河豚の白子と伊勢海老の二品が供された。
一口大に切り分けられ軽く塩を振って焼かれた白子が二つ。絶妙な焼加減で供された白子は外は芳ばしく中はとろけるようにまったりとしていて美味。
伊勢海老は食べやすい大きさに形を整え、そこに伊勢海老の味噌と甘口の白味噌とを混ぜ合わせ、たっぷりと塗ってから焼き上げる。プリプリした伊勢海老の食感と濃厚な味噌のコクと甘みに思わず顔がほころぶ・・・

●炊合せ
椀の蓋をとると、立ち昇る湯気とともに野菜の甘くて優しい香りが心を落ち着かせてくれるようだ。中身は、丸大根、ほうれん草、京人参、それに鴨ロースが入り上から出汁の利いたあんかけがかかる。こちらも完成度の高い一品だ。

●牛煮
この日、京味では珍しく肉料理が供された。
やや厚切りの極上和牛二枚が青菜、麩、長葱と共にやや甘口の出汁でさっと煮て供される。柔らかくて脂の乗った和牛は白飯と共に頂く。あまりの旨さにペロッと平らげてしまう。このとき添えられた香の物は、千枚漬け・赤蕪・大根・しば漬け二種。特に千枚漬は出色である。

●くずきり
この日のデザートはくずきりを頂くことに。
いつもながら目の前で手作りにてつくられるくずきりは黒蜜の椀に入り供される。さっぱりした甘さで美味!


 新年初日の京味は、この店に通うファンたちによって大いに盛況な一日であったようだ。いつもながら思うことであるが、四季折々に旬の味覚を尽くした和の匠の味を堪能させて頂き、感謝の気持ちで店を後にした。
お節料理
「2008年 お節料理」


 ありきたりの言い方だが、ついこの前2007年の正月を迎えたばかりだと思っていたら、一年が過ぎるのは早いもので、もう新たな年を迎えてしまった。子供の頃には一年という時間が過ぎるのをもっと長く感じていたはずであったが、歳を重ねるごとに一年間という時間が経過する体感速度が速まっているように感じる・・・などと、取り留めのない話しはさて置き、新年最初の記事はお節料理のご紹介である。


「京味」

●住 所/港区新橋3-3-5
●電 話/03-3591-3344
●会 計/126,000円


 京味のお節料理は二段と三段の二種類があり、我家では三段重をお願いしておいた。
12/31午後2時頃に店まで料理を受取りに行く。中へ入ると店内はお節料理の受渡しでバタバタしている。するとやや遅れて俳優で作詞・作曲家の小林亜星氏が入店してきた。自らお節料理を受取りにきたようだ。そうかこの方も京味ファンの一人であったか・・・などと考えているうちに料理を渡されたので、皆さんに「良いお年を!」と挨拶をして店を出た。

※紅白の風呂敷に包まれた三段重



※一の重(中央は半生からすみ厚切り)



※二の重



※三の重(手前右から牛肉ロース・鴨ロース・栗きんとん)





「割烹かじ」

●住 所/中央区銀座8-6-24 銀座会館5F
●電 話/03-3574-9124
●会 計/80,000円


 京味を出た足でそのまま並木通りへ入り、銀座会館の前で車を止める。するとどこかで見られていたのか大将が料理を運んできてくれた。ご丁寧な挨拶をして頂き料理を車へ積込む。割烹かじは銀座では知れた店だ。高級クラブひしめく並木通り8丁目の銀座会館にあるこの店は、場所柄もあり普段は同伴客などを中心に大変盛況な店である。オーナーの‘梶 茂子’女将は近所で他に高級クラブを二店舗経営されている。割烹かじの詳しい紹介は後に譲るものとする。

※紫色の風呂敷に包まれた二段重



※一の重


※向きを変え蓋を外してみる(中央はなますの上に甘干し柿スライスが乗る)





※二の重





「赤坂離宮」

●住 所/港区赤坂2-14-5 プラザミカドB1
●電 話/03-5570-9323
●会 計/52,500円


 赤坂離宮のお節は12/31にクール便にて宅配される。焼き物と前菜系が中心の離宮のお節は我家の定番である。今年はサービスで紹興酒まで贈って頂いた。感謝!

※薄い朱色と白の柄模様の風呂敷に包まれた二段重


※風呂敷を開けるとこんな感じに



※一の重



※二の重(右奥は鴨の燻製と京人参の甘酢漬け)



※二つ並べて



※サービスで頂いた赤坂璃宮オリジナル紹興酒 陳期27年ボトル




 さて、腹一杯お節も食べそろそろ正月休みも終わることだし、今年も更なる食の極みを求め食道楽の道に精を出すこととするか・・・
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